「第2の鹿島」へ!bj奈良の挑戦

 昨年11月26日、バスケットボール界に衝撃が走った。日本が国際バスケットボール連盟(FIBA)によって、国際大会への参加を禁止された。

 “良くないきっかけ”ではあったが、制裁を受けタスクフォース(特別チーム)を設置し、新リーグ設立などを目指して、日本バスケットボール界は確かに動き出した。

 リオ五輪予選までに制裁を解除するためにも、Jリーグ立ち上げ時には約5年を費やした新リーグの設立を、たった数カ月で行おうとしているのだ。

 “ピンチ”を何とかチャンスに変えるべく、各チームは必死に動き続けている。4月28日、新リーグ参入の受付を47チーム全てが行ったのも「日本バスケットボール界をいい方向へ進めたい」という意思の表れだろう。各チームの現状や今後の可能性をふまえ、7月末に1~3部の振り分けが行われる。

 Jリーグのクラブをモデルに、1部参入を目指すクラブが奈良にある。bjリーグのバンビシャス奈良だ。加藤真治代表は「第2の鹿島を目指す」と宣言した。

 というのも3月17日、川淵チェアマンが奈良県庁を訪問した際、「奇跡は起こせますからね」と、例に挙げたのがJ1鹿島だったのだ。鹿島アントラーズの前身・住友金属は、当時2部リーグに低迷。リーグが打ち出した基準のスタジアムも存在しなかった。「加入は99・9999%無理」。当時、チェアマンはそう明言したそうだ。

 それでも鹿島アントラーズは「オリジナル10」の称号を勝ち取った。行政を動かし、スタジアムの建設を確約。町を挙げての後押しもあり、最後にはその基準をクリアしたのだ。

 現在、奈良はリーグが1部参入条件として打ち出した(1)「5000人規模のアリーナ」もなければ、(2)「財務規模」も満たしていない。「どれだけ条件は厳しくても、努力するのは運営側の責任」という意志を持った加藤代表の胸に「鹿島のようなことをやれるなら…」というチェアマンの言葉が響かないはずはなかった。奈良のシンボルでもある鹿は昔々、鹿島神宮からやって来たという言い伝えすら、偶然には思えなかった。

 条件(1)「5000人規模のアリーナ」建設へ向け、2月中旬から集め始めた署名は、4月中旬で既に1万人を突破し、県との交渉も進めている。条件(2)の「財政面」へも、スポンサー獲得はもちろん、チケット収入やスクール事業の拡大など、アクションは起こし続けている。第2の鹿島へ--。0・0001%の奇跡を見届けたい。

(デイリースポーツ・國島紗希)

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