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前川清は視聴率男!10%も上昇させた

 今、九州地区のテレビ関係者の間で、歌手・前川清(66)が“視聴率男”として話題となっているという。

 前川は、九州地区および山口県をカバーする九州朝日放送(KBC)で、2012年4月から冠番組「前川清の笑顔まんてん タビ好キ」(日曜正午)に出演している。もともと同時間帯は「NHKのど自慢」「アッコにおまかせ!」など、強力な全国放送の番組がある激戦区。前川の番組がスタートする前のKBCの同時間帯の視聴率は3~5%と低いものだった。

 だが番組スタートから2年。それが大きく変化している。この「タビ好キ」が視聴者にすっかり浸透。昨年度の年間平均視聴率は9・8%と同時間帯の1位となり日曜昼の顔としてすっかり定着。

 今年に入っても、さらなる伸びをみせている。6月22日には番組歴代1位となる14・3%と、昼の番組では脅威的な数字をたたきだした。それ以外の日でも、ほぼ毎週のように11~13%台を記録。9月までの平均は11・5%となっている。たった2年ほどで同枠の視聴率を約3倍、10%近くも上げてしまった。

 その要因は、前川がこだわった番組の中身にあると言われている。

 同番組は、常に何が起こるか分からないガチンコな旅番組。前川が、Wエンジン・えとう窓口(41)と、アポなし、ノープランで九州各地を旅をしながら地域の方とふれ合っていく形で進行する。

 前川は「歌手として地方に行くと、年配の方から『見る番組がない』とよく言われてました。だから、その方たちが見てもらえるように、おじいちゃんやおばあちゃんと交流することにしたのです。年配の方と交流すると、そこに孫がいて、親がいて。家族と交流することになるのです。昔は一家団らんで、同じ番組を見ていた。それが今はなかなかないでしょう。昔のような番組を目指したのです」と説明した。

 そんなこだわりは、前川の持つキャリアから生まれている。クールな二枚目歌手としてのイメージが強いが、以前は昭和を代表するバラエティー番組「8時だョ!全員集合」「欽ちゃんのドンとやってみよう!」などに出演。コミカルな役も演じていた。いかりや長介、萩本欽一といった巨匠のもとで、テンポあるコントのやり取りを繰り返し、間の取り方、効くアドリブ、人を引きつける話術などを学んだのだった。

 それがノープランでアポなしで何が起こるか分からない番組でも生かされている。昭和のテイストである世代を超えて受け入れられるトーク、話術が大きな武器になっている。

 実際、現代において同様の番組で、前川の立ち位置で起用されるのはお笑い芸人がほとんど。だが九州で活躍する、あるお笑い芸人は「あの位置に前川さんが出たら、それは他の番組は負けてしまうよ」と言うほど。実は玄人でも恐れる実力なのだ。

 「地方の番組に出るというと、どうしても、中央から落ちぶれたと見られる。でも、今、中央でも頑張っている自分が出ることで、注目も浴びる。そのためにも、中央でさらに頑張らねばいけない」と前川。そんな思いも、地方での全力投球を生んでいる。

 もともとは、長崎県出身の前川に同局関係者が「地元九州で面白いものを一緒にやりませんか」とオファーしたことがキッカケ。最初は深夜枠の番組に前川が準レギュラー出演していた。そのトークが好評だったため、この日曜昼の冠番組を持つことになった。

 現在では、番組での行く先々で、高齢者と同様に子供たちと交流する機会が多いという。小さな世代にも認知度が広がっている証拠。思い描いた通りの結果が出ている。そんな上昇気流に乗り、今月21日には、九州地区ローカル限定だが、初めてゴールデンに進出し特番が放送される。

 多メディア化の影響もあり、テレビの視聴率が低下している現代。地方発とはいえ、前川が生み出したこんな現象には、何か大きなヒントがあると思う。(数字はビデオリサーチ調べ)

(デイリースポーツ・栗原正史)

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