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深刻化する野球離れに打開策はあるのか

 少年少女の野球離れが深刻化している。全日本軟式野球連盟によると、昨年度の学童の野球チーム数は1万3291。過去、1980年度には2万8115チームもあったが、1990年度は1万7089、2000年度は1万4800と年々減少している。

 総人口が減少している影響もあるが、対象的にサッカーの少年チーム数は増加傾向にある。Jリーグ元年だった93年は7922チームだったが、日韓W杯の開催翌年の03年には8251、13年は8668まで伸びた。今年、1カ月後に迫ったブラジルW杯が盛り上がれば、さらなる増加も予想される。

 野球離れの大きな要因として、少年少女を取りまく環境の変化が挙げられる。かつて、野球をしていた空き地にはマンションが建ち、壁当てが許可されている場所でも、近隣からの通報で警察が駆けつけることもある。

 ゴールデンタイムの定番だった地上波での野球中継も減少し、少年少女がプロ野球選手に憧れる機会も少なくなった。ボール1個でも楽しめるサッカーは、野球に比べると経済的負担が少ないと言われる。また、野球よりも低年齢から始める子供も多く、リフティングの練習などは広いスペースを必要としない。野球よりも気軽に始められそうなサッカーを選択する子供が増えることは、自然の流れなのかもしれない。

 当然、野球界も危機感を抱いている。日本野球機構(NPB)は4月下旬、「NPB 未来の侍プロジェクト」の事業の一環として、小学校や地域の公園などに「壁当て遊び用の壁」の寄贈を発表した。低年齢層児童を中心に、野球への関心や楽しさを体験するきっかけを提供することが目的だ。「壁」は野球にとって貴重な役割を果たしており、プロ野球界でも壁当てを「原点」とする選手は少なくない。

 巨人の菅野は5歳からボールを握り、自宅近くの公園で壁当てをしていたという。「小さいときに投げ続けた毎日があったからこそ、今のコントロールがついたと言っても過言ではありません。現在の投球スタイルの原点かもしれません」。

 巨人・村田も「誰よりもうまくなりたい、遠くに投げたい一心で、日が暮れるまでやっていて、母親から『そろそろ終わりにしなさい』とよく言われました。いい思い出です」と振り返る。

 寄贈される壁の名称は「ベース・ウォール」(詳細はNPBの公式サイトに掲載)。今年は12球団のフランチャイズ地域に1基ずつ計12基を寄贈し、将来的には47都道府県に1基ずつの設置を目指すという。

 ただ、野球人口の拡大を目指すのであれば、都道府県に1基ずつでは足りない。ソフトバンク・松田は「今はそういった場所が少なくなっていると思う。子どもたちにもっと気軽に野球に親しんでもらえるように、この運動が広がることを期待しています」と話す。野球選手が積極的に普及活動に協力し、当たり前のように各地域、各学校に「壁」が設置されるようになれば、夢は広がる。

 野球振興のために、NPBは12球団や選手と協力して、小学校の授業に野球を取り入れてもらう活動や、指導者への講習も行っていくという。こうした地道な活動を重ねていくことで、野球界の底辺拡大を目指していく。

(デイリースポーツ・佐藤啓)

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