好川菜々東洋王座戦決定!注目の雅ジム

 ボクシングのOPBF東洋太平洋女子ライトフライ級3位の好川菜々(35)=雅=が3月9日(大阪府堺市民会館)に同級王座決定戦を行うことが決まった。相手はクリカノック・アイランドムエタイ(タイ)でプロ9勝(4KO)3敗2分け。WBC女子世界アトム級王者の小関桃(青木)にも挑戦経験のある実力者だ。

 美女ボクサーで注目を集める好川だがルックスだけではない。アマ時代には全日本3階級制覇の偉業を達成した。ただ「アジア、世界と名の付くものには、あと一歩届かなかった」と、アマでは悔しさを残した。

 だからこそ東洋には人一倍の思いがある。「これまで東洋が壁だった。ここが照準。アマ時代はメダルだったけど、プロではベルトというのが本気で欲しくなった。初のベルトを獲りたい」と、気合は半端ではない。

 プロ3戦目で東洋太平洋王座を奪えば、4戦目では世界挑戦の可能性も十分。元WBC女子ライトフライ級王者・富樫直美(ワタナベ)に並ぶ、日本女子最速の世界王座奪取を視野に入れる。

 プロ1、2戦目はともに判定勝ち。ヘッドギアのない戦いに、必要以上に慎重になり、アマ時代に築いた技術を出せなかった。年明けには和歌山県の白浜合宿で100キロの走り込み。「やっと、プロに慣れてきたかな。次はガツガツいく。スッキリとベルトを巻きたい」と必勝を誓った。

 刺激もあった。ジム関係者が米・ラスベガスを訪れた際、「一声100万ドル」のリングアナウンサー・マイケル・バッファーを直撃し、好川へ映像エールをもらってきた。

 「Let's get ready to rumble!NANA(戦いの準備はいいかい菜々)」。マイク・タイソンやパッキャオの試合を手がけたNo.1リングアナの美声が世界への情熱をさらにかきたてている。

 同ジムには好川に負けず、男子のエース・川口勝太(29)も今年の王座を狙う。昨年12月21日にWBC世界フライ級12位のヨードグン・トーチャルンチャイ(タイ)に3‐0の判定勝ち。今年1月に同級15位に念願の世界ランク入りした。

 故郷・長崎で10歳の時に父が失踪し、高校卒業と同時に拳一つで生きることを決意。元WBC世界バンタム級王者・辰吉丈一郎にあこがれ大阪に乗り込んだ。その父と16年ぶりに試合会場で再会した奇跡の過去を持つ男だ。

 前戦後にその波乱の人生を記事で取り上げられ、ネットで大きな反響。「長崎の何人もの知人から『世界王者になって長崎に帰るのを待っている』と言われました。いつか長崎で世界王者として防衛戦をする」と夢は大きい。あこがれの辰吉にも知人を介し約1カ前に初めて会い「頑張れ」と励まされた。「忘れられない」と今でも感動に胸を熱くする。

 好川とともに、次戦は3月9日、ティッパブトル・チョーチュムアン(タイ)と対戦も決定。今夏にも視野に入れる日本か東洋太平洋王座挑戦への前哨戦だ。「今年はタイトルしか考えていない。次につなげる」と完勝しか頭にない。

 同ジムは設立間もなく、昨年4月に初めて所属選手が試合を行った。好川、川口が東洋、世界王者になれば、設立わずか2年での快挙。日本ボクシング界に新風を起こす「雅」に注目だ。(デイリースポーツ・荒木 司)

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