「北京五輪・スノーボード男子ハーフパイプ・決勝」（１１日、雲頂スノーパーク）

　日本代表・平野歩夢（２３）が３回目の試技を行い、逆転で悲願の金メダルを獲得した。五輪初の「トリプルコーク１４４０」を組み込んだ構成を成功させ、９６・００の高得点をマークした。

　平野は「まだ実感がないですが、ようやく小さい頃の夢がひとつかなった。ここを獲らずには終われない、ずっとやってきたことを出し切れた」と笑顔を浮かべた。

　全ての思いを原動力にした。２回目、大技「トリプルコーク１４４０」を組み込んだ構成を初めて成功させたが得点が思ったより伸びず、ジェームズ（オーストラリア）の９２・５０に届かず、会場からはスイスなど外国人の関係者からブーイングが響いた。平野歩夢自身も「２本目の点数は納得いかなかったが、そういう怒りが自分の気持ちのなかでできたというか、良かったです。思い切って最後出し切るのために、集中した」とうなずいた。

　金メダル獲得後、歩み寄ったのはライバルのショーン・ホワイト。自身は４位でメダルに届かなかったが、平野歩の両ほほを触りながら、笑顔で声をかけた。平野歩も感無量の表情を浮かべた。

　「ショーンも相変わらずチャレンジし続けて、最年長で僕には経験できないことを見せてくれ、刺激的。彼にとっても、かなり大きいチャレンジだったと思う」。

　スノボ界の悲願に、日の丸を背負ってのインタビュー。「応援してくれてる人たちがあっての自分。本当に納得いく滑りをみんなに少しでも届いたんじゃないかな。何か刺激になってくれればそれ以上はない」と語った。

　◆平野歩夢（ひらの・あゆむ）１９９８年１１月２９日、新潟県村上市出身。新潟・開志国際高から日大に進学。２０１４年ソチ、１８年平昌五輪２大会連続で銀メダルを獲得した。２１年東京夏季五輪にはスケートボードで出場し、予選は通過できなかった。ＴＯＫＩＯインカラミ所属。１６５センチ、６０キロ。