追い抜き娘「金」!史上最強ジャパンだ 美帆はメダル全色制覇!

 「平昌五輪・スピードスケート女子団体追い抜き・決勝」(21日、江陵オーバル)

 団体追い抜きで高木美帆(23)=日体大助手、高木菜那(25)=日本電産サンキョー、佐藤綾乃(21)=高崎健康福祉大、菊池彩花(30)=富士急=の日本女子は前回覇者オランダとの決勝を2分53秒89の五輪新記録で制して金メダルを獲得した。同種目でのメダルは2位だった2010年バンクーバー五輪以来。高木美は1500メートルの銀、1000メートルの銅に続き、今大会三つ目のメダル。今大会の日本のメダルは11個となり、1998年長野五輪を上回り冬季大会最多となった。

 やっとつかんだ最高の輝きだ。1500メートルで銀、1000メートルで銅メダルを獲得した高木美は、団体追い抜きのエースとしてレースを引っ張り、金メダルを獲得。ゴール直後、勝利を確信すると、高々と両こぶしを突き上げた。チームメートと歓喜の抱擁。長野五輪の10個を上回る、日本勢史上最多11個目、自身3色目の記念すべきメダルを手中に収め「パシュート(団体追い抜き)で金はずっと掲げていたので。やった!って。こん身のガッツポーズができた」と感慨に浸った。

 通常は、空気抵抗を最も受ける先頭をチームの屋台骨である美帆が3・5周担う作戦で戦うが、準決勝は0・5周分少ない3周にし、決勝へ体力を温存。勝負の舞台で躍動した。一時はオランダに0・5秒近く先行されるも、再び高木美が先頭に出たレース終盤、相手のペースが落ちる中で日本はしっかりラップタイムを維持し、1・59秒差で先着。「オランダに勝てたって気持ちが強い」と興奮気味に美帆が振り返ったように、個人戦では金メダルを阻まれ続けた“高い壁”を撃破し悲願を成し遂げた。

 姉妹でかなえた初めての親孝行だ。この8年、妹・美帆と姉・菜那とは、常にすれ違い続けてきた。妹が10年バンクーバー五輪に出場。姉は妹が落選した14年ソチ五輪に出場した。「平昌は一緒に行こう」などと誓い合ってきたわけではない。むしろ美帆は「姉妹で出ることに特別感はない」と語っていた。

 普段は「ねぇ(姉)」「ミホ」と呼び合う仲良し姉妹だが、振り返れば、いがみ合ったときもあった。氷上ではライバル。練習中は自身にがむしゃらな美帆と、負けず嫌いをむき出しにする菜那とが競い合ってきた。2人で金メダルも当然、夢見た光景ではあったが「チームジャパン全員のメダル。姉妹で取れたこと以上に、チームで金が取れて良かった」と美帆。佐藤、菊池を含めたチームメートに感謝した。

 「金メダルを取るところが見せられて、両親に今までの恩返しができた」と姉・菜那が言えば、「両親や家族へは、やっといいところが見せられたかな」と妹の美帆。北の大地で生まれ育った世界最速姉妹が、偉業を成し遂げた。

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