【朝原宣治の目】五輪200m 周りが速いと定着していない感覚が狂ってしまう

 「リオ五輪・陸上・男子200m予選」(16日、五輪スタジアム)

 チャンスがあると思っていた男子200メートルですが、世界は一気に速くなっていると痛感しました。地力の違いは明白。今季最も安定していた飯塚君でも20秒49で、日本選手権で出した20秒11からほど遠い結果です。

 この記録なら予選通過は十分でした。好調でも力が出せなかったのは、20秒11は国内の絶好のコンディションで出した記録で、この速さで走る感覚はまだ彼の体に定着していなかったからでしょう。このレベルをいつでもどこでも安定して出せるようでなければ、本番で力は出せません。

 高瀬君も同様で、終盤失速したのはオーバーペースによるもの。200メートルではコーナーでどの程度の力があれば、これくらいの記録になると選手はわかっています。それが五輪という場所ではわからなくなる。周りが速いと、定着していない感覚は狂うのです。

 山県君や末続慎吾君(男子200メートル日本記録保持者)のように常に感覚を維持できる“特殊能力”を持つ選手はいますが、ほとんどの選手はそうではない。私自身もレースを積んで感覚を把握するタイプでした。世界と戦うには海外レースなどを数多くこなし、高いレベルの感覚を磨いていくことが必要でしょう。(08年北京五輪男子400メートルリレー銅メダリスト、「NOBY T&F CLUB」主宰・朝原宣治)

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