ディーン、父の母国で誓ったリオで金

 「ロンドン五輪・陸上男子やり投げ・決勝」(11日、五輪スタジアム)

 ディーン元気(20)=早大=は2投目の79メートル95が最高で、上位8人による4投目以降に残れず、10位だった。父の母国で五輪初出場を果たし、日本選手として同競技で28年ぶりに決勝に進んだ。ホロ苦い決勝になったが「4年後は90メートルを投げて優勝する」とリオデジャネイロ五輪での活躍を誓った。日本では未明にもかかわらず、各所で大声援が送られた。

 自らの順位が9位に落ち、4投目以降に進めなくなったことを確認すると、ディーンは悔しさを押し殺すような笑みを浮かべながら、競技場を見渡した。そして、決勝の最後の投てきまで見届け、光景を目に焼き付けた。初の五輪は10位。ほろ苦い結果に終わった。ただ、すぐに“次”への渇望が湧いてきた。

 「一瞬で終わってしまった。これが五輪かと…。1位の選手が決まった瞬間、“これが自分だったらな”って思いが強くなった。4年後は本当に勝負できるようになって帰ってきたい」

 父ジョンさんの母国で待望の夢舞台に立った。はやる気持ちを抑え切れなかった。「楽しみ過ぎて、焦り過ぎた」と、助走から投げのリズムがかみ合わず、本来の爆発力が影を潜めた。優勝したウォルコットは、1つ年下の19歳。ベスト記録も試合前までディーンより下だった。チャンスがあっただけに「結果がついてこなかったのが悔しい」と、唇をかんだ。

 実は、イギリスがやり投げの“原点”でもある。中学から陸上を本格的に始めるまで、毎年8月は家族で英北部ニューカッスルにある父の実家に帰っていた。3歳のころから物を投げるのが大好きだったディーンは、そこにあったビリヤードのキューを外に向かって投げていたという。先祖は北欧の海洋民族バイキングという男は、この地で初めてその“狩猟本能”を目覚めさせたのだった。

 今季、飛ぶ鳥を落とす勢いで、五輪の舞台に駆け上がった若武者。憧れのトルキルドセンからTシャツをもらうなど、世界の強豪との交流は、必ず今後に生きてくる。「4年後は90メートルを投げて優勝する」‐。16年リオデジャネイロ五輪での金メダルを“獲物”に定めたディーン。原点の地で再び目覚めた本能のまま、がむしゃらに進化を追い求めていく。

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