『正しい保健体育☆(ローマ数字2) 結婚編』みうらじゅん著 一味もふた味も違う愛の教科書

 先日、TBS系『はなまるマーケット』で武田鉄矢さんが話していたエピソードが面白かった。大学生の頃、女性にフラれて泣いてると「女は年を取ったらみんな同じ顔になる」とお母さんが励ましてくれたのだそう。なるほど、一理ありとうなずく。

 必要なのは先々まで見渡せる広い視野と達観か。それを若者に求めるのは酷な気もするが、それでもやはり「結婚」という人生の一大イベントについて、相手に容姿の良さを求める傾向は、殊更、男性に顕著にみられるような気がしている。

 だが、「ゆるキャラ」「マイブーム」などの生みの親、みうらじゅん氏は一味もふた味も違う。

 男子が童貞時代とどう付き合っていくかをみうら流に説いた1作目から9年、(私にとっては)満を持して発売された続編となる本書では、結婚、夫婦生活、子育てから介護に至るまでの心構えや持論が説かれている。

本書で語られる理想の結婚相手は「介護してくれそうな人」。輝かしい未来が待っている若者に向けては、何だか夢も希望もないような話にも聞こえるが、「愛とは無償の介護なのだ」という氏の主張は、ある意味でまさに真理を突いているのではないか。

 本書の発売に際して受けた雑誌のインタビューでも「結婚しても何も変わらない。そもそも他人に変えてもらおうっていうのが調子いいですよね。いちばんよくないのは、結婚に対する過剰な期待と過剰な絶望だと思うんです」と語っており、あくまでも“他人”なのだと訴えかける。

 夫婦のインサイダー取引、アウトサイダーなど、ここでは説明するのもはばかられるようなみうらさんによる造語、新語が続々と誕生し、半ば強引なこじつけも、ユーモア風味あいまってなぜか納得させられてしまうのが不思議。本来のターゲットであるヤングアダルトより、結婚できずに色々とこじらせている30代半ばの男性諸君に読んでもらいたい!

 (イースト・プレス 1300円+税)=江藤かんな

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