５月５日に慢性心不全のため亡くなった、作曲家でシンセサイザー奏者の冨田勲さん（享年８４）のお別れの会が１５日、東京・青山葬儀所で、しめやかに営まれた。映画監督の山田洋次氏（８４）、ＬＵＮＡ　ＳＥＡ・ＳＵＧＩＺＯ（４６）、嵐・櫻井翔（３４）、歌手の由紀さおり（６７）、安田祥子（７４）、石原伸晃経済再生担当相（５９）ら、８００人が参列。冨田さんを敬愛していた米歌手のスティーヴィー・ワンダー（６６）からは、ＶＴＲメッセージが届けられた。

　大好きだった宇宙をイメージした祭壇の中央で、ヘッドホンをつけたスーツ姿の冨田さんは、穏やかな笑みを浮かべていた。２０１３年夏、千葉・幕張メッセの音楽フェスで撮られた遺影。冒頭の功績を振り返る映像では、亡くなる１時間前、１１月の公演「ドクター・コッペリウス」に向けた打ち合わせ中の、「感激してくれればいいねぇ、お客さんがね」という肉声も流された。

　弔辞をささげたのは、映画「学校」、「武士の一分」などで、冨田さんに音楽を手掛けてもらった山田監督。「冨田さんなくして今の僕はなかったと、シミジミ思う。これからも冨田さんと仕事をする予定がありました。同じ世代の友として仕事をしたかったのに、なんで逝ってしまうのですか」と悲しみに暮れた。

　スティーヴィー・ワンダーは１９８８年に日本国内で行われた、冨田さんがホスト役のライブイベントに出演。１０年前に亡くした母親を引き合いに、「永遠の生命を得たトミタと母は出会い、私がどれだけ彼の音楽を繰り返し聞き、天賦の才能を信奉していたかを、母は彼に話すだろう」と天国へ畏敬の念を向けていた。