七冠の井山【会見・前編】CP戦にも
囲碁の第54期十段戦5番勝負の第4局が20日、東京都千代田区の日本棋院で行われ、挑戦者の井山裕太六冠(26)が伊田篤史十段(22)に163手で中押し勝ち。対戦成績を3勝1敗として十段位を奪取し、囲碁界で初となる七大タイトル独占を達成した。【以下、対局を終えた井山六冠の会見要旨・前編】
◆対局終了直後
-今局を振り返って。
「そんなに自信があったわけではないですが、うまくしのげればというか、あまり損をせずしのげればまずまずかと思っていた。流れは悪くないかと思っていたけど、実際の形勢まではわからなかったです」
-どの局面で手応えを感じた?
「(盤面の)右下が二段コウのような形になって、後ろの大石に寄りついていくような形になったときは、見通しは立たなかったですが、少しいけそうかなと」
-第3局に敗れ、今回はどんな気持ちで?
「大変な一局になるだろうとは思ってましたけど、とにかく自分のやりたいように、悔いのないようにやるというだけでした」
-ついに七冠を達成。
「今はちょっと、終わったばかりであまり…。まだ盤上のことばかりなんですけど、ここ数年はずっと期待していただいていたので、何とか達成することができてうれしいですけれども、やはりさらに今後も精進していかなければいけないなという気持ちはあります」
-安どの気持ちは?
「とりあえずシリーズが終わったということで、それは少しありますね」
-これからへの思いを。
「特別何かが変わるということはないと思います。まだまだやはり未熟だと感じることは多いので、とにかく少しでもレベルアップしていけるようにというのがまず一番です。それは今というより、常に思っていることなので、特に変わったということではないのですが」
【会見】
-改めて、現在の心境を。
「個人的には(七冠は)ここ数年、目標にしてきたことなので、達成できたことは非常にうれしいですけど、今、熊本の方では震災で大変な思いをされている方が非常に多いですし、素直に喜べる状況ではないんですが、そういった方々にも少しでもいいニュースとして受け取っていただけたら非常にうれしく思います」
-多くの報道陣が集まった。
「やはりなかなか、囲碁という競技の中でこれだけ注目していただけることはなかなかありませんので、折角の機会ですので、これを機に囲碁の魅力、囲碁そのものを知っていただくいい機会にできたらなと思っています」
-七冠達成の道のりを振り返ると。
「(13年に)最初に六冠になったとき、当然周囲の方は六の次は七だと考えておられた。それは当然だと思いますし、目標にはしてきましたけど、ここ数年、七冠に向けて戦っていく中で、難しさ、大変さは身をもって感じていたので、今こうしてこの結果になったというのは信じられない気持ちですね」
-対コンピューターへの興味は。
「人工知能ですけど、AlphaGo(ソフト)と李セドル(韓国)さんとの対戦は興味深く見させていただきまして、新たな囲碁の魅力というか、人間にはないというか、少し違う発想も感じましたので、AlphaGoとかコンピューターということではなく、棋士としては強い相手と戦いたいというのは自然にわき上がってくるものですので、どういうものかというのを体感してみたいというのは純粋にはありますけど、あまり言ってしまうとちょっとアレなところもあるので…(笑)
-避難所でも囲碁が楽しまれているという。そういう方々への思いは。
「第3局の日に地震がありまして、5年前の東日本大震災の時にも私は対局をしていて、棋士としてはその時も囲碁を打っていていいのかという思いはあったんですけど、自分には囲碁を通じてと言うことしかできないので、被災された方に、少しでもいいニュースとしてとらえていただけたり、今後囲碁を通じて何かできればなという風には思っています」
