小学館の週刊ビッグコミックスピリッツ掲載の漫画「美味しんぼ」の主人公らが、東京電力福島第１原発を訪問後に鼻血を出す描写が物議を醸していることについて長年の同漫画のファンという大阪市の橋下徹市長（４４）が１２日、原作者の雁屋哲氏に向け「別に（放射能）批判を美味しんぼでやらなくても…。もっと楽しい話にならないものか」と注文をつけた。

　この日発売の同誌最新号が、昨秋まで東日本大震災の廃棄物の受け入れ・焼却処分を行った大阪市でも焼却場近くで約８割の住民が健康不調を訴えている旨の説明表現を掲載。大阪市は事実関係を否定し、橋下市長は小学館に「漫画でもやりすぎ。事実というなら根拠を示してほしい」と要求した。

　ただし橋下市長は「美味しんぼはたくさんの読者に愛された人気漫画ですし、僕も楽しく読ませてもらってましたから」と愛読者であることを告白。「福島県の今の厳しい状況とか考えて、もっと安心できる、楽しく元気が出るような話にしてもらえないものか」と注文した。

　雁屋氏に対しては「もっとポジティブなところで力を発揮していただきたい。別に美味しんぼを使わなくても…。今回の放射能に関する考え方を別で漫画にするとかね、やり方あると思うんですけど」と提案し「（描写が）根拠薄弱だとか言われたら、人気を博した作者さんのためにならないですよ」と指摘した。