滋賀学園・馬越「ヘリコプター」打法

 「選抜高校野球・1回戦、桐生第一5-9滋賀学園」(20日、甲子園球場)

 滋賀学園(滋賀)の4番・馬越大地内野手(3年)が“ヘリコプター打法”を披露し、2打数1安打1得点で注目を集めた。

 頭上に構えたバットをくるくる回してタイミングを取る独特のフォーム。しかし第一打席は四球で、投球に対しては1度もバットを振ることなく一塁へ歩いた。

 三回の第2打席は左肩、四回の第3打席は右足への死球。「1試合2死球は初めて」と話したが「それほど痛くはない」と平然と一塁へ歩いた。

 最も球場が沸いたのは、六回の第4打席。1死走者なしの場面で、遊撃への打球を放ち178センチ、82キロのどっしりした体で一塁へヘッドスライディング。セーフとなり、西村大樹外野手(3年)の2点三塁打で生還した。

 自己判断では、打球はヘッドスライディングしなくてもセーフになりそうなタイミング。しかし「(先発の)神村の球が狙われ始めてムードがあまり良くなく、ここはスライディングで盛り上げようと思った」とアイデアでチームの士気を上げ、追加点につなげた。

 秋季大会で打率・441、3本塁打。山口達也監督(44)に「甲子園では勝負してもらえないことも多くなるから、足でかき回す準備を」と提案され、走力も磨いた。

 通常の練習メニューである外野ポール間走10本に加え、短距離のダッシュや塁間走を自主的に行った。「足には自信ないです」と照れるが、チーム内からは「走塁のセンスはいい」と評価も高い。

 さらに“ヘリコプター打法”が出るたび客席からは歓声。「お客さんに『ホームラン期待してるよ』と言われてうれしかった。このフォームで人気が出るといいですね」とおちゃめな笑顔をみせた。

 もともとは不振に苦しんでいた昨秋滋賀大会中、試行錯誤の末に導入した打法だ。「タイミングが取りやすくなった」と復調し、秋の公式戦は3本塁打、16打点でチームの2冠王になった。

 好きなプロ野球選手は日本ハム・中田翔。「しっかり振れる打者。動画サイトなどを見てタイミングの取り方を参考にしている」と研究に余念がない。

 学校としても、2009年夏以来2度目の甲子園で初勝利。「新チームの目標が甲子園1勝だった。できるだけ長くいたい」と気合を入れ直した。

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