ヤクルト・山田哲人がみせた度胸のよさ

9月29日の広島戦の試合前、観戦に訪れた大相撲力士の嘉風(右)と談笑するヤクルト・山田哲人=神宮外苑軟式グラウンド コブシ球場(撮影・開出牧)
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 ヤクルト・山田哲人内野手(23)と言えば、今シーズン、トリプルスリー(3割30本30盗塁)を達成し、勝負強いバッティングでチームの優勝に貢献したが、一風変わった性格であることでも知られている。彼を知る人は皆、「ヘンだけど憎めない奴」と口を揃えるという。実際どうなのか。先日、期せずして彼の人となりがよく分かる場面に遭遇した。

 9月29日の広島戦の試合前、ヤクルトの練習を取材するためにコブシ球場(神宮外苑軟式グラウンド)にいた私は、観戦に訪れた大相撲力士の嘉風(33)と山田が初対面した場に居合わせた。

 身長175センチ、体重142キロの嘉風は浴衣姿で貫禄十分だったが、礼儀正しく頭を下げてあいさつした山田は「プロ野球は、どこのファンですか?」と、名刺代わりのブラックユーモアで歓迎した。さしもの嘉風も“立ち合い”で意表を突かれた感は否めず「今は各チームにすごい選手がいるから、どこというのはないけど…巨人が負けると、イラッとするから、やっぱり巨人かな」と、遠慮がちに本音を漏らした。

 話題が大相撲に及ぶと、山田は右手を上下に動かしながら「勝った時に、こうやってやるじゃないですか…」と、懸賞を受け取る時に力士が行う手刀について尋ね、嘉風から手取り足取り指導を受けると、「今度MVPを受賞した時にやります」と、ジョークを飛ばし、屈託のない笑みを浮かべた。大相撲の手刀は、宗教行事の意味合いを持つ礼儀である。私はファインダー越しにヒヤヒヤしながら見ていたが、別れ際に山田は両手を差し出し、深々と頭を下げ敬意を表した。嘉風も笑みを浮かべ、うれしそうだった。

 ブラックユーモア連発には驚かされたが、彼なりの歓迎だったのだろう。確かにヘンだ。が、好奇心旺盛で妙に礼儀正しいところが憎めない。何よりも勝負師にとって大切な、度胸がある。

(写真と文=デイリースポーツ・開出牧)

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