市和歌山、那賀下し2回戦へ
「高校野球・和歌山大会1回戦、市和歌山4-3那賀」(10日、紀三井寺)
第97回全国高等学校野球選手権大会の和歌山大会が10日、紀三井寺球場で行われ、昨夏代表の市和歌山が4-3で那賀を下し、2回戦へ駒を進めた。
勢いをつけたのはトップバッターの西山だった。初回、カウント1-2からの4球目、「追い込まれていたので変化球を狙っていた」と内寄りに来た甘いスライダーをフルスイング。打球はグングン伸びて左中間席に飛び込んだ。
6月に行われた北大津との練習試合で放って以来、通算2本目となる先頭打者アーチ。「本塁打は公式戦で初めてです」と価値ある一発に納得の表情を浮かべた。
昨夏の甲子園1回戦、鹿屋中央戦でチームはあまりにも苦すぎるサヨナラ負けを喫した。1-1の延長十二回裏、1死一、三塁から併殺を狙いに行くはずが、熱狂の中で二塁手がまさかの一塁転送。その時、西山は遊撃を守っており「あの時は懸命にボールを呼んだんですが…」。聖地の大歓声に指示の声はかき消された。
あの悔しさがあるからこそ「甲子園に行って勝ちたい」と力を込めた西山。田辺市出身で通学が困難なことから下宿生活を送る。授業、部活以外に掃除、洗濯、炊事を1人でこなす努力家が、先輩たちの無念を晴らすために再び甲子園を目指す。