大谷翔平 ベーブ・ルース以来105年ぶり快挙 PS1勝&公式戦50本塁打 五回シュワバーK斬りで雄たけび

 「ナ・リーグ・地区シリーズ、フィリーズ3-5ドジャース」(4日、フィラデルフィア)

 ドジャースの大谷翔平投手(31)がフィラデルフィアで行われたフィリーズとのナ・リーグ地区シリーズ(5回戦制)第1戦に「1番・投手兼指名打者」でポストシーズン(PS)初登板し、6回3安打3失点、9奪三振で勝利投手となった。PSでの投打「二刀流」は自身初めて。「公式戦50本塁打」と「PS1勝」を記録したのは1920年のベーブ・ルース以来105年ぶり。2つの記録を同一シーズンで達成したのは史上初の快挙。チームは逆転勝ちで先勝し、好スタートを切った。

 仲間たちの力を信じて腕を振り続けた。0-3の五回2死一、二塁。もう1点もやれない状況で、大谷が主砲シュワバーを空振り三振に斬った。フルカウントから捕手スミスのサインにうなずき、自信を持って投げたカーブ。「試合の行方を決定付ける場面だったと思う」。雄たけびとともに渾身(こんしん)のガッツポーズを繰り出した。

 メジャー屈指の気性の荒さで知られる敵地での登板。ウオームアップのためにフィールドに出ると、激しいブーイングで“歓待”された。それでも大谷は平然とした表情で赤く染まった観客席に向かってグラブを掲げ、笑顔を見せた。「緊張感はあったが、集中して試合に入っていけた。全体的に楽しめた」と言い切った。

 最速162キロの直球を軸にした配球プラン。二回につかまり3点を失ったが、三回以降は無失点に抑えた。

 「しっかりと粘れば、必ず勝つチャンスが来る」

 その言葉通り、五回のピンチを切り抜けた直後の六回にK・ヘルナンデスが2点適時打で1点差に詰め寄る。七回にはT・ヘルナンデスに起死回生の逆転3ラン。叫び声を上げ、ベンチから飛び出した大谷は「これこそポストシーズンの醍醐味(だいごみ)。素晴らしい瞬間だった」と無上の喜びを味わった。

 打者としては4打席連続三振で自らを援護できなかったが、2点リードの九回の打席では巧みなチームプレーを見せる。

 「朗希が(ブルペンで肩を)つくり始めていたので、監督から時間を稼いでほしいというオーダーが出ていた」。

 初球にセーフティーバントの構えを見せたかと思えば、打席途中にタイムを要求して時間を稼ぎ、最後は四球で出塁。記録には残らないファインプレーだった。

 逆転でつかんだ大きな1勝。メジャー公式記録によると、レギュラーシーズンで50本塁打を記録した選手がPSで勝利投手になったのは1920年のルース以来105年ぶりのこと。同一シーズンでの達成は大谷が史上初の偉業だ。

 この日は快音こそなかったが、二刀流パフォーマンスで存在感を示した大谷。試合後の会見で投打同時出場について問われると、珍しく強い自負を口にした。

 「それが自分の色であり、自分の強みだと思っている。自分にしかできない役割だと思う」

 ポストシーズン3戦3勝。チームとともに連勝街道を突き進む。

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