水原一平被告は禁錮4年9カ月 求刑通りで情状酌量はなし 大谷翔平に約26億円賠償命令 3月24日までに収監 謝罪の言葉も
ドジャース・大谷翔平選手の元通訳で、同選手の口座から約1659万ドル(約25億7000万円)を盗み、銀行詐欺罪などで有罪が確定している水原一平被告の量刑言い渡しが6日(日本時間7日)、カリフォルニア州サンタアナの連邦裁判所で行われ、禁錮4年9カ月の判決を言い渡した。3月24日までに出頭し、収監される。大谷への賠償金は約1700万ドル(約26億3500万円)と決まった。
開廷40分前にスーツ姿で法廷に入った水原被告。約8カ月ぶりに公の場に姿を見せたが、後ろ髪はスーツの襟まで伸び、報道陣の問いかけには無言を貫いていた。昨年3月の韓国シリーズ開幕戦直後に勃発した騒動。証言台では「本当に申し訳ない」と大谷に対して謝罪の言葉を述べたという。言い渡しの際は正面を見据えて微動だにせず、判決後は無言で黒のSUVへ乗り込んだ。
裁判資料によると、水原被告は2021年9月ごろから昨年1月までの2年4カ月の間に違法スポーツ賭博に少なくとも1万9000回の賭けを行い、約4068万ドル(約63億円)の負債を抱えた。負けた額を取り返すために大谷の口座から無断で複数回にわたり、計約1659万ドル(約25億7000万円)を胴元へ不正送金。さらに22年の確定申告において違法賭博で得たと思われる410万ドル(約6億4000万円)を申告しなかったとして税金の虚偽申告でも訴追された。
同被告は地検との司法取引に応じ、昨年6月に有罪答弁。禁錮30年以上と予想された罪に対し、地検は今年1月に禁錮4年9月、釈放後3年間の保護観察、同選手への約1700万ドル(約26億3500万円)の賠償などを求刑した。一方、水原被告は連邦地裁の判事宛てに情状酌量を求める書面を提出。仕事に見合う金銭を得られず、生活は次第に困窮し、「やりくりの助け」になると考えてスポーツ賭博に手を出したと明かし、禁錮1年6月が妥当と主張した。
しかし、地検は同被告の書類提出から1週間後に「裏付けのない主張」として猛反論。同被告の「莫大(ばくだい)な借金に抱えた」との主張に対し、21年9月に大谷の銀行口座から「わずか4万ドル(約620万円)」の不正送金が最初に行われた時点で、水原被告の当座預金口座には3万4千ドル(約530万円)以上の預金があった証拠を提出。さらに、選手の身の回りの世話をするためにカリフォルニア州ニューポートビーチで「高額な家賃を支払った」とし、同時に日本のアパートの家賃も支払っていたとの記述に対しては、選手の「認識や承認」なしに「大谷氏のデビットカードを使って家賃を支払っていた」ことを示す証拠として銀行の明細書を提出し、「これも事実ではありません」とした。
また、検察は「彼には支出がなかった。ローンや車、家賃の支払いはなかった」とし、大谷が水原被告にポルシェを与えたと記している。被告の当座預金口座には常に「かなりの残高」があり、23年3月には3万ドル(約465万円)以上、24年3月には19万5000ドル(約3000万円)以上あったと述べた。
水原被告の減刑を求めたのは本人だけでない。妻は書類の中で同被告について「体調がすぐれないときでも休まず、翔平を支え続けた。一人ですべてをこなさなければならないという重圧-を常に感じていたのだと思う」と記述。「夫は過ちを犯し、それが許されないことだと理解しています。しかし、彼は利己的な理由や甘えから過ちを犯したわけではありません。当時の彼は健全な精神状態ではなかった」と擁護した。また、両親も同被告が犯した罪を「理解している」としながら、父親は「とても親切な人」であることを強調し、母親は「息子を失うと思うと、毎日胸が痛みます。どうか私たちから息子を奪わないでください」と訴えていた。





