MLB選手会がコミッショナーを批判も…米メディアは「醜い労働争議」

 新型コロナウイルスの感染拡大のために延期している開幕について大リーグ機構(MLB)と協議している選手会が15日(日本時間16日)、声明を発表。5日前に出演したテレビ番組で今季開幕に自信を見せていたロブ・マンフレッド・コミッショナーがこの日の番組出演で「自信はない」と発言したことに「嫌悪している」などと批判した。

 選手会のトニー・クラーク専務理事は声明の書き出しで、マンフレッド・コミッショナーがこの日に出演した、スポーツ専門局ESPNの番組内での発言を指摘。5日前に今シーズンの実施の可能性を「100%」と答えていたにもかかわらず、この日は一転、「自信はない。極めて危険な状況にある」と悲観したことに「選手とファンに向けてロブ・マンフレッドが2020年シーズンは100%やると明言した後に約束を破り、今やシーズン全体を中止にすると脅していることを選手たちは嫌悪している」。さらに「今回の脅しはMLBが協議開始時から不誠実な交渉を行ってきたことの別の一例です。常に選手の年俸削減につなげるためのことです」と猛批判した。

 米メディアによると、MLBと選手会の開幕に関する協議は5月上旬からスタート。これまでMLBは3つの開幕案を提示しているが、選手会が「89試合制、年俸完全日割り」などを要求したのに対し、MLBは無観客による各球団の減収を理由に3度目の提案でも「72試合制、年俸日割り70%保証」と譲らず。クラーク専務理事は13日(同14日)に声明を出し、MLBの提案を拒否するとともに「残念ながらリーグとのこれ以上の協議は無益なものになりそうです」と交渉打ち切りを示唆。選手会の声明を受けてマンフレッド・コミッショナーも「選手会が開幕に向けた誠意ある交渉を打ち切る選択をしたことに落胆している」とつづっていた。

 米メディアが伝える最大の争点は『金』だ。MLBと選手会はことあるごとに「ファンのために」と口にするが、その存在を忘れたかのように激しい攻防を繰り広げている。ESPN(電子版)は見出しに「醜い労働争議」の言葉を入れた特集記事を掲載した。

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