イチロー、メジャー3000安打達成 拍手と歓声に感極まる

 「ロッキーズ7-10マーリンズ」(7日、デンバー)

 マーリンズ・イチロー外野手(42)がロッキーズ戦の七回に右越え三塁打を放ち、史上30人目のメジャー通算3000安打を達成した。その瞬間、三塁上にチームメートが駆け寄り、敵地の4万を超えるファンからも祝福された。達成者で大リーグデビューが27歳は最も遅く、16年目の到達は通算4256安打の最多記録を持つピート・ローズに並ぶ最速タイ。希代のヒットマンが米球界に金字塔を打ち立てた。

 感情の針が大きく振れた。三塁に達した自分のもとに駆け寄る仲間たちを見てほおを緩めた。「僕がなにかをすることで僕以外の人たちが喜んでくれることが、今の僕にとってなにより大事だと再認識した瞬間でした」。敵地でやむことのない拍手と歓声。感極まった表情のイチローが、ヘルメットを掲げて感謝した。

 七回だ。2ボールからの3球目、内寄りカットボールを振り抜いた。「まったく(本塁打は)狙っていなかった。ただ、打球が上がった瞬間は越えてほしいと思った」。右翼フェンス直撃の会心の一打。史上2人目となる三塁打での偉業達成だった。

 文字通り、産みの苦しみを味わった。通算2996安打目を放ったのは7月21日のフィリーズ戦。そこから3本のヒットを打つために14試合23打席を要した。「誰にも会いたくない、しゃべりたくない。苦しい時間でした」。この日も四回の第3打席まで無安打。心にしみたのは仲間たちの気遣いだ。

 「3打席終わったときに誰も声を掛けてこなかった。それがうれしかった。だからこそ、結果を出したいという気持ちが強くなる。ヒットが出てみんなの顔を見たときはすごく安心しました」

 偉業を成し遂げた直後、思い出したのはメジャー移籍を後押ししてくれたオリックス時代の恩師、故仰木彬氏だ。ベンチに座るイチローのほおをつたったものが汗でないのは、誰の目にも明らかだった。

 16年目での大台到達はピート・ローズに並ぶ史上最速。しかし、順風満帆というわけではなかった。中でも12年途中から14年までプレーしたヤンキースでは、過去に経験したことのない不規則な起用法に「悔しい気持ちしかない」と漏らした。肉体も万全ではなく、左足が思うように上がらない状態でフィールドに立ち続けた。

 敵は相手バッテリーだけではない。厳しいストライク判定に何度も泣かされ、「僕の技術が死ぬ」とまで言った。追い込まれる前に打ちにいった打席は数え切れない。「日本にいたらああいう打撃はない」。メジャー流のアプローチで安打を積み上げた。

 3000安打達成で将来の米野球殿堂入りは確実なものになった。「そんないつの日のことか分からないことよりも、明日の試合に出たいってことの方が大事」。イチローの野球を愛する気持ちは誰にも負けない。

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