「宝塚」以外にもあった…!ほぼ毎日1000人キャパの大劇場で公演する“歌劇団”、8月大阪に初登場
テーマパーク「ハウステンボス」(長崎県佐世保市)を拠点に、専用劇場で年間361日の公演を続ける「ハウステンボス歌劇団」。「宝塚歌劇団」(宝塚市)や、「OSK日本歌劇団」(大阪市)などと同様に、女性だけで構成される劇団だ。「チケットが安すぎる!」など、たびたびSNSでも話題になっているが、いったいどのような劇団なのか。
7月に「長崎県国際観光ウェルカムアンバサダー」にも就任した同歌劇団が、8月19日~22日に「YES THEATER」(大阪市中央区)で、初の大阪公演『華月夜(はなづきよ)の恋』『Sparkle of Life』をおこなう。本作で主演を務めるトップスターの海夏人蒼馬(みなと・そうま)と、月瀬彩花(つきせ・あやか)に、劇団に入ったきっかけや、観客との距離感が近い同劇団の魅力、「ハウステンボス歌劇団」ならではの、ユニークな演出などについて詳しく聞いた。
取材・文/小野寺亜紀
写真/Lmaga.jp編集部
■ 「宝塚歌劇団」で歌劇の世界に魅了され────長崎ではどのような活動をされているのでしょうか。
海夏人:「ハウステンボス歌劇大劇場」という1000人のお客さまが入れる大きな専用劇場があり、そこで毎日公演をおこなっています。ほかにも、「ミューズホール」という少し小さめの劇場があり、そちらでは若手メンバーを中心とした20分前後のレビューショーをお届けしています。毎日2チームに分かれ、大劇場の公演が1日2回、ミューズホールでの公演が1回、計3回の違う舞台を楽しんでいただいています。
──「ハウステンボス歌劇大劇場」には大階段もあるのですね。
月瀬:15段の大階段があります。この劇場はヨーロッパのオペラハウスがモチーフとなっていて、本当にきれいです。毎日「幸せだな」と思いながら、舞台に立たせていただいています。
──歌劇団は6チームに分かれて公演。それぞれにトップスターさんがいらっしゃり、海夏人さんは「チーム翔(ウィング)」でダブルトップを務められています。そもそも歌劇の世界を目指されたきっかけは?
海夏人:最初は「宝塚歌劇団」さんで歌劇の世界を知り、男役のかっこよさやメイク、衣装、舞台装置に、現実では見られない夢の世界を感じて憧れました。お芝居が好きなので、男役を演じながらさらに役を演じるという世界に心惹かれて、この歌劇の世界に足を踏み入れました。
──東京都府中市ご出身だそうですね。
海夏人:はい。もともと体を動かすのが好きでしたが、本格的に芸事を始めたのは宝塚歌劇に出会った中学3年の頃です。「ハウステンボス歌劇団」に入るときも、正直技術としては全然ダメだったはずなのですが、「男役をやりたい、歌劇の世界に飛び込みたい」という熱い思いを、オーディションで汲んでくださいました。
でも技術が足りず、入ってからがとても大変でした。「舞台が好き」という思いに応えてくださる先生方やメンバーの皆さんに、本当にお世話になりました。夢を叶えてくれる劇団だなと思っています。
月瀬:私は幼い頃から舞台を観ることが大好きで、バレエやピアノの習い事の発表会も楽しみにしている子どもでした。将来は舞台に立つ仕事をしたいと思っており、そんなときにハウステンボス歌劇団が新しくできたと伺って、「今なら歌劇団の歴史の1ページになれる!」と「ハウステンボス歌劇学院」に入りました。
──海夏人さんは東京から、月瀬さんは大阪から、単身長崎へ渡られたんですね。
海夏人:東京を出るのも初めてだったのですが、毎日歌劇の舞台に立てるんだという希望を胸に、不安もなく来てしまいました(笑)。
──今回、初の大阪公演ということで、劇団内でも喜びが大きかったですか?
海夏人:はい! 関西は「宝塚歌劇団」さんや「OSK日本歌劇団」さんなど歌劇の文化がある場所。やはり大きなプレッシャーもありますが、多くの方にハウステンボス歌劇団の魅力をお届けしたいと思っています。
■ 観客と作り上げる一体感に満ちた「Live歌劇」──ハウステンボス歌劇団ならではの魅力とは?
海夏人:お客さまとの距離が近い、というところがまずあります。私たちは「Live歌劇」と呼んでいるのですが、お客さまとの一体感を楽しめる歌劇をお届けしたいと思っています。毎日毎回、お客さまの空気感をしっかり感じて、それを演者として受け止めてお返しできるように。
公演の最後には『ザ・レビュー』という歌劇団のテーマソングを歌わせていただくのですが、劇団のロゴであるブルーローズをイメージしたブルーのペンライトをお客さまに手に取っていただき、一緒に振って一体感を楽しんでもらう演出もあります。
月瀬:私も、お客さまとその日そのときに作り上げていく感覚がとてもあります。人数がそれほど多いわけではないので、お客さまからもよく見ていただけますし、私たちからもお客さまの顔がよく見えます。コールアンドレスポンスではないですけれど、お客さまと一緒に舞台を作り上げるところが、ハウステンボス歌劇団ならではだと思います。
──「一体感」という点で、印象深いエピソードがあれば教えてください。
海夏人:先々月、スティック型のポンポンを使い、お客さまと一緒に同じ振りを踊るレビューシーンがあったのですが、お客さまの熱意をとても感じました(笑)。お手紙にも「あの瞬間がすごく楽しみで待っています」と書いてくださる方がいて、本当に嬉しく思います。
月瀬:私も同じ公演に出演していましたが、お客さまが盛り上がっているのに負けていられないなと(笑)。今上演中のレビューショーでも客席に降りて一緒に踊らせていただくところがあって、その瞬間がメンバーもみんな大好きで、とても幸せに感じています。
──楽屋と劇場が離れているので舞台メイクのまま外を移動され、ファンの方がそれを見守るというのも普通の光景だそうですね。
海夏人:そうなんです。本来なら幕が下りればお客さまに会うことはないはずですが、出待ちをしてくださって、「おもしろかったよ」と直接声をかけていただけるのが本当に幸せです。お客さまの想いにもっと応えていきたいですし、出待ちをしてくださる方々との時間も、公演の一部だと思っています。
■ 新作『華月夜の恋』は孤独を抱えた男女が惹かれ合う物語──お芝居は平安時代・陰陽師の世界が題材ですね。
海夏人:私が演じる月城伶紫(つきしろれいじ)は、生まれつき不思議な力を持っていて、人に見えないものが見えたり、式神と心を通わせることができるんですが、その力のせいで人から距離を置かれてしまい、孤独を抱えている役です。同じような不思議な力を持つ、月瀬ちゃん演じる馨子(かおるこ)と出会い、徐々に心を開きお互いに惹かれ合っていきます。2人で宮廷の陰謀に立ち向かい、伶紫が人として成長していく姿も見どころです。
──宣伝ビジュアルが美しく、烏帽子がとてもお似合いですね。
海夏人:(照れ笑い)。和物の作品には何度か出演していますが、陰陽師役は初めてで新たな挑戦です。この世界観をしっかりお届けできたらと思っています。
──月瀬さんが演じる馨子は?
月瀬: 馨子も伶紫さんと同じ不思議な力を持つがゆえの孤独や寂しさを抱えています。伶紫さんと出会って変化していく心を大切に。式神など人ではないキャラクターもたくさん登場するので、幻想的な世界も楽しんでいただけたらと思います。
──舞台の2幕が、「雅(ブルーローズ)」のトップスター・優雅さん(元宝塚歌劇団月組男役・研ルイス)が、構成・演出されるレビューショー『Sparkle of Life』です。
海夏人:選抜メンバーでフレッシュにお届けします。歌劇の王道と伝統の場面を押さえつつ、大阪にちなんだナンバーもあるので、楽しんでいただきたいです。
優雅さんからは男役の美学、歩き方や所作などを教えていただき、見るだけでもとても勉強になります。宝塚の世界で活躍され、ハウステンボス歌劇団でもずっとトップを走ってくださっている方なので、本当に素敵です。今回「未来へ」という明るいテーマのレビューを演出してくださっています。
──元宝塚歌劇団月組娘役の檀ひとみさんも、普段の公演で演出や振付をされているとか。
月瀬:はい。宝塚歌劇出身の先生からは「歌劇の風」を感じるので、少しでも吸収したいと、いつも思っています。
──稽古場の雰囲気はいかがですか。
月瀬:個性豊かで、笑いが絶えない印象です。
海夏人:真剣に稽古しつつ、固くなりすぎず、メンバーの個性をそのまま舞台に活かせたらと思っています。
■ 誠実さが際立つ海夏人、絶対音感をもつ月瀬──今回上演される「YES THEATER」に、足を運ばれていかがですか?
海夏人:こんなに街に人がたくさんいらっしゃり、この劇場の上は素晴らしい「なんばグランド花月」さん。大きなプレッシャーがありますが、ハウステンボス歌劇団を多くの方に観ていただきたい思いが強いので、チャンスと捉えています。これをきっかけにハウステンボスにも来ていただけたら嬉しいです。
──月瀬さんは大阪ご出身ですが。
月瀬:なんば周辺はあまり馴染みがなくて、新鮮な気持ちもあります。ただ関西はたくさんの舞台が観られる場所なので、ハウステンボス歌劇団の名前は知っているけれど観たことがないという方にも、「大阪に来ているなら観てみよう」と思っていただければ嬉しいです。
──海夏人さんは、プロフィールでイタリアとご縁があると拝見しました。
海夏人:実はハーフなんですが、生まれも育ちも日本なので、あまりイタリアとの接点はなくて(笑)。でもいつかイタリア公演ができたらいいなと思っています! あちらには女性だけの歌劇の文化がないと思うので。
──お互いの舞台人としての魅力も教えてください。
月瀬:海夏人さんは舞台に対しても人に対しても、とても誠実な方。いつも持てる力を惜しみなく発揮され、陰でもお稽古を欠かさず、誰よりも努力を重ねていらっしゃいます。そしてとてもかっこいい(笑)。
海夏人:月瀬ちゃんは本当にピュアで、くもりがない娘役さん。妖怪からお姫様まで演じ分け、どの役にも真剣に向き合っていて、舞台に真っ直ぐなのを感じます。絶対音感もあり、歌もとても上手なので尊敬しています。
──お二人が主演される本作、ぜひいろいろな方に足を運んでいただきたいですね。
海夏人:今回大阪で初めてお披露目する作品なので、素敵な演出で皆様の心に響くステージにしたいと思っています。日頃応援してくださるお客様にも、大阪で初めて観てくださるお客様にも、歌劇への愛と、ハウステンボス歌劇団の魅力をお届けしたいです。
月瀬:この大阪という地で公演させていただけることが本当に幸せですし、同時に責任重大だとも思っています。長崎まで足を運びづらい方々にも、長崎から応援しに来てくださる皆様にも、新たな魅力をお届けできるようお稽古に励み、熱い舞台をお見せできたら嬉しいです。
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初の大阪公演『華月夜(はなづきよ)の恋』『Sparkle of Life』は、2026年8月19~22日に上演。現在、チケット好評発売中。詳細は公式サイトで確認を。
(Lmaga.jp)
