主人公・秀長の子を「実子→養子」に変えた理由…怪力・藤堂高虎の伝記がカギ、のちの伏線?【豊臣兄弟!コラム】

仲野太賀主演で、豊臣秀吉の弟・豊臣秀長(小一郎)が、兄とともに天下一統を果たすまでを描いていく大河ドラマ『豊臣兄弟!』(NHK)。

5月17日放送の第19回「過去からの刺客」では、秀長と慶がついに本当の夫婦となれたその裏で、秀吉が武将生命をかけた大決断を行っていたことが判明。さらに秀長の「御実子」与一郎が養子という設定になったことについても考えてみた。

■ 柴田勝家と対立、秀吉が大ピンチ…第19回あらすじ織田信長(小栗旬)は家督を、嫡男・信忠(小関裕太)に譲ることを宣言。信忠に尾張と美濃を任せ、近江・安土山に新たな拠点となる城の築城を開始した。

それと同時に、越後の上杉謙信(工藤潤矢)に戦いを挑むが、援軍に加わっていた羽柴(豊臣)秀吉(池松壮亮)は、織田方の七尾城がすでに敵の手に落ちているとして撤退を主張。総大将の柴田勝家(山口馬木也)はその言葉を信じようとはせず、2人は対立する。

長浜の留守を任されていた小一郎は、家臣となった藤堂高虎(佳久創)が妻・慶(ちか/吉岡里帆)の後をつけたのをきっかけに、慶に前夫との子ども・与一郎(高木波瑠)がいることを知り、彼を養子に迎えることにする。

小一郎はこれからも慶が上手くいく道を見つけると誓い、慶も小一郎に命を預けると決めたなか、秀吉が帰還。戦が終わったのかと思いきや、秀吉は信長にも無断で兵を引き上げていた・・・。

■ ドラマで省略された重大局面「上杉攻め」前回は「長篠の戦い」とか、信忠が武功を上げた「岩村城の戦い」などの重大な事件をすっ飛ばして、家臣オーディションでほぼほぼ尺を使うという大胆な策に出た『豊臣兄弟!』。

この第19回でも、織田信長がついに「越後の竜」と言われた上杉謙信と対決するという重大な局面に入ったにも関わらず、秀長と慶の戦国ラブストーリーで押し通すという荒業をやってのけた。本当の家庭を築けたことで、ここから秀長がより大きな活躍を見せるターニングポイントではあったけど、戦国大河としては思い切った構成だろう。

そんなわけで今回も「一方その頃、戦国の大局は」という話だけど、まず第17回で京から追放された元足利幕府将軍・足利義昭(尾上右近)が、毛利輝元のお膝元である広島・鞆で幕府再興のための活動を本格的に開始し、上杉謙信はその呼びかけに応じて信長との対決を決意。

今の石川県で戦闘を繰り返して、織田方にあった七尾城を攻略。勝家や秀吉たちは、その直前に七尾城から送られた救援要請を受けて、兵を出したというわけだ。

ここで秀吉だけが自軍を引き上げた理由は、はっきりとはわかっていない。秀吉が活躍できないよう勝家が手を回したからとか、別途不穏な動きがあったからとか(なんせこのころの信長の周囲は敵も裏切りも多い)いろんな説があるけれど、今回は七尾城陥落の情報をゲットして、被害を最小限にとどめるために引き上げた・・・という説を採用した。

勝家、浅井家の裏切りを知ったのは誰よりも早かったのに、やはり市(宮アあおい)が絡んでたからなのか?

というのは冗談として、結論から言うと実は秀吉の方が正しかった。七尾城はすでに上杉方のものとなり、進軍した勝家たちはすぐに撤退戦に出るはめに。重臣たちは生き残れたものの、大勢の死傷者が出る負け戦となった。

そして、この謙信勝利の影響で、反信長方の勢いが再び活気づくことになるので、来週以降は大変そう。そして信長の許しなく、勝手に戦列を離れた秀吉。主命に背いたかどで死罪となってもおかしくない状況なのに、どうやって切り抜けることができたのか? そこは来週の、大きなポイントとなりそうだ。

■ 史実では実子…なぜ、養子に変えたのか?一方その頃秀長は、慶に生き別れの子どもがいるという事実が判明したのがきっかけで、7年間も仮面夫婦状態だった慶とようやく心が通じ合った。慶の方も頑(かたく)なではあったけど、秀長も本来の優しすぎる性格と、理想的な女房役だった直(白石聖)との突然の別れの傷が治りきってなかったことが、大きな障害となっていた。

「子は鎹(かすがい)」というけれど、夫婦が一丸となることで、奇跡的に迎え入れることができた与一郎の存在が、2人をつなげたと言ってもいいだろう。

さて、この与一郎だが、本来は秀長と慶の実子と言われている。そのためSNSでは「こんな重大な史実を曲げていいのか」と非難する声も上がっていたのだが、実は与一郎の存在は、同時代の資料には記録されていない。

彼の名前が上がるのは、藤堂高虎の伝記と、与一郎の死後にその寡婦が嫁いだ森家の歴史書という、江戸時代になってから編纂された書物に記されているのみなのだ。

これまでの大河ドラマでは、私たちがよく知る「史実」と呼ばれるものが、実はいろんな事情で捏造されたり、デマが真実にすり替わってしまっていたのでは・・・というフィクションをたびたび目にしてきた。

だから大河ドラマのファンの大半は、徳川家康の正室・瀬名が悪女という評価や、田沼意次が賄賂好きという史実の決めつけには、疑問を呈するだろう。特に、たった一つの文献だけを根拠にして定説となった史実なんて、そもそも問題の文献の筆者が嘘をついてないなんて、誰が保証できるのか?

とりわけ『豊臣兄弟!』の高虎のキャラを考えると、この先秀長が「血のつながりなんて関係ない」という思いを貫き、与一郎を我が子同然に可愛がるのをすぐ側で見ていたら「与一郎様は殿の本当の子です! 血のつながりとか関係ないです!」って主張しそうな気がする。

彼の伝記のなかでは、与一郎が「嫡男」ではなく「御実子」と記されているそうなので、やはり本当の子どもかどうかは断定しきれないのでは・・・?

■ “養子”の設定が伏線に?史実との違いが面白い戦国時代の武将たちの華やかな戦いだけでなく、その裏にある日常や、家族のあり方にも同じぐらいスポットを当てている『豊臣兄弟!』。

血のつながりは「家族」の絶対条件ではない・・・「血はつながってなくても、ず~っと一緒におると似てくる」というなか(坂井真紀)の言葉を、秀長も、そして養女を迎えた秀吉と寧々(浜辺美波)夫婦も証明していくことになるのだろう。

そして、脚本家・八津弘幸のことだから、この養子という設定が、数ヶ月後ぐらいに「ここが伏線だったかー!」と両手を上げるような仕掛けにつながらないとも限らない。

どうやら自分が知っている事実とは違うことが出てきた時に、間違ってると怒るのではなく「どうしてそうなったんだろう?」と面白がる余裕を持つ方が、このドラマははるかに楽しめそうだ。

大河ドラマ『豊臣兄弟!』はNHK総合で毎週日曜・20時から、NHKBSは18時から、BSP4Kでは12時15分からスタート。5月24日放送の第20回「本物の平蜘蛛」では、上杉攻めから勝手に離脱した秀吉が、秀長とともに、信長に対して謀反を起こした松永久秀(竹中直人)との直接交渉に臨むところが描かれていく。

文/吉永美和子

【最新相関図】慶(吉岡里帆)の人間関係は?

(Lmaga.jp)

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