“家臣オーディション”が未来を暗示…石田三成の松本怜生ら、4人の若手俳優が熱演【豊臣兄弟!コラム】
仲野太賀主演で、豊臣秀吉の弟・豊臣秀長(小一郎)が、兄とともに天下一統を果たすまでを描いていく大河ドラマ『豊臣兄弟!』(NHK)。
5月10日放送の第18回「羽柴兄弟!」では、のちに豊臣政権を支えていく若き家臣たちが次々に登場し、なかには彼らの未来を暗示するような描写も。さらにチラッと登場した人物や戦いについても、少し補足を入れてみた。
■ ついに城持ち大名、家臣を急募…第18回あらすじ織田信長(小栗旬)が浅井長政(中島歩)を滅ぼしてから2年後。藤吉郎(豊臣秀吉/池松壮亮)は「羽柴秀吉」と改名し、領地となった北近江・長浜に城を築いて城持ち大名となった。
年貢や役を免じたことで長浜は人が大勢集まり賑やかになったが、秀吉や小一郎だけでは治めきれない規模に。竹中半兵衛(菅田将暉)は、今後の家の安泰のためにも子飼いの家臣を増やすことを提案し、兄弟は城下から広く候補を募集する。
様々な試験を経た結果、藤堂高虎(佳久創)、石田三成(松本怜生)、平野長泰(西山潤)、片桐且元(長友郁真)の4人が残るが、秀吉は4人で話し合い、1人が仕官をあきらめるよう調略するという最終試験を出す。
三成は、試験中に高虎に救われた借りを返すため、自分と高虎の禄を半分ずつにすることで全員を召し抱えるようにと、逆に秀吉を調略。感心した秀吉は三成と長泰と且元を家臣とし、高虎は小一郎の家来になるよう命じた。
■ “家臣オーディション”での振る舞いが、未来を暗示?百姓というほぼ最下層の身分から、ついに城持ち大名までのし上がった豊臣秀吉と秀長兄弟。しかし「家臣」と言える存在が、秀吉の義父・浅野長勝(宮川一朗太)とその娘婿・浅野長吉(浅野長政/大地伸永)、蜂須賀正勝(高橋努)、前野長康(渋谷謙人)、そして竹中半兵衛ぐらいしかいなかった。
そんななか、長勝が急逝してしまい、秀吉たちは新たに家臣を集めることになった。実際の秀吉も、城持ちとなって人を雇う余裕が出たこともあってか、この辺りから新しい家臣がちょっとずつ増え始めている。
そこで、こんな風に脱落形式の大規模オーディションを敢行したかどうかと言われたら、そりゃもうフィクションなんだろうけど、突飛なアイディアをいろいろと実現してきた秀吉だったら、ちょっとやりかねないなあとも思えたり(笑)。
しかし、ここで採用された石田三成、平野長泰、片桐且元の今後の豊臣家での動き、さらに秀吉逝去後の立ち位置などが、すでにこの試験の中で浮き彫りになっていたのが面白かった。
まず、石田三成だけど、一般的に広く伝わっている秀吉の配下になるきっかけは「三献の茶」と呼ばれる逸話。
三成がいる寺に休憩に来た秀吉に、最初は一気に飲めるぬるいお茶、次はやや熱めのお茶、3杯目にゆっくり味わえる熱いお茶を出し、秀吉がその気配りに感心してスカウトした・・・というものだ。JR長浜駅前にその銅像が立ってるほど有名な話だけど、今回は特別扱いとはならず、皆と同じようにオーディションを受ける形になった。
SNSでも「えー、お茶の話はないの?」という意見は見受けられたが、結果的に彼が高虎を見てちょっと小馬鹿にしつつも、試験内容を把握できてないミスとはいえ、身を挺して自分を助けてくれた高虎に忠義を示そうとするなど、私たちがよく知る「THE石田三成」な性格がすでに反映されていたと思う。
そして、主君(今回は試験官)の命令を命がけで守ろうとするところも、死の間際まで豊臣政権のために尽くした三成らしい行動ではないか。
それに対して、堂内に煙が立ち込めるのを見て、臨機応変に状況判断をして抜け出した平野長泰と、念のために貴重品を持ち出した片桐且元。
これもまた、秀吉逝去後は割とあっさり徳川方に着いた長泰、ギリギリまで豊臣家を守ろうとしたけど結局背を向けた且元と、それぞれの未来の姿が暗示されたような結果になったのが興味深い。3人は秀吉の家来なので、秀長&高虎とどこまで絡むのかは不明だけど、特に三成&高虎は良い凸凹コンビとなりそうなので活躍に期待したい。
■ 竹中直人、退場…? “空白の2年間”を解説そして、前回の第17回は、1年のうちに起こった大事件を一挙に詰め込んだために、それぞれの話があっという間に終わってしまった感があったけど、この第18回でも一気に時間を2年間進めるとか、またしても大胆な取捨選択が行われた。
特に一瞬だけ映った松永久秀(竹中直人)は、一体何が起こって大和国を召し上げられたの? っていうか今回で退場? とヤキモキした人が多かったと思うので、少し補足していこう。
まず、ナレーションだけで終わった「長篠の戦い」だけど、織田信長(小栗旬)と、先週餅死にした(苦笑)武田信玄(高嶋政伸)のあとを継いだ武田勝頼の戦いで、信長が大量の鉄砲を使って勝利したことがあまりにも有名だ。
なのでもう、説明しなくてもわかりますよね? というのでカットされた可能性は大。ちなみに武田家はここから意外と粘って、天目山の戦いで敗れて滅亡するのは、長篠の戦いの7年後となる。
そして、松永久秀は、最初の方にちらっと出てきた筒井順慶(永沼伊久也)と長年対立していて、足利義昭(尾上右近)が順慶側に着いたために幕府から離反。しかし、義昭と信長の対立が進むと、次は義昭と和解して反信長勢力に鞍替えした。その義昭が信長に敗れたため、久秀は降伏し、城は取られたものの命は助けられた。
生き残りをかけて1年の間に目まぐるしくスタンスを変えた久秀だが、そのまま義昭との対立姿勢を貫き、信長の方に付いていれば安泰だったのでは・・・と考えると、ちょっと切なくなってくる。
というわけで、久秀はひとまず生きながらえたが、この先登場があるかどうかはわからない。ただ秀吉・秀長とは多少なりとも交流があったので、なにかの足跡を残すような再会があるのではないか・・・というのは筆者の勝手な予想だ。
そして、有名な「茶釜(平蜘蛛釜)に火薬を詰めて爆死」が『豊臣兄弟!』では実現するのかどうか? 『麒麟がくる』(2020年)では、平蜘蛛釜をある種の爆弾アイテムにして視聴者を驚かせたので、『豊臣兄弟!』でも引きつづき「久秀の茶釜」に注目だ。
■ 省略された一向一揆で、織田家臣団にも変化また、秀吉が「手柄は全部ほかの人間に持っていかれた」と愚痴った「越前一向一揆」だけど、これは前回で越前の朝倉家が滅亡し、そのあとの支配に不満を持つ人たちが起こしたもので、朝倉義景(鶴見辰吾)を裏切った朝倉景鏡(池内万作)も、この戦で裏切りの報いを受けたかのように討死している。
その後もなかなか鎮まることはなく、ついに信長と家臣団が一気に越前に攻め込んで、一揆方の人々を容赦なく処刑して鎮圧している。
そして、空白になった越前国は、まるっと柴田勝家(山口馬木也)に与えられた。越前の隣国・近江を任されている秀吉としては、ついでに領地がちょっと増えたら良かったのに・・・と思うのも、まあ当然だろう。
ちなみにこのとき、めっちゃくちゃ一向宗のジェノサイドに関わったのが、秀吉のケンカ友達の前田利家(大東駿介)! 勝家から3万石を分け与えられ、これが後の「加賀百万石」の出世コースの第一歩となる。
そしてこのあと、秀吉と勝家の間で板挟みになるわけだが、それはもう少し先のことになるだろう。
◇
大河ドラマ『豊臣兄弟!』はNHK総合で毎週日曜・20時から、NHKBSは18時から、BSP4Kでは12時15分からスタート。5月17日放送の第19回「過去からの刺客」では、織田信長が安土に拠点を移して城作りを開始するところと、秀長が妻・慶(ちか/吉岡里帆)がひた隠しにしていた悲しい過去を知るところが描かれる。
文/吉永美和子
【写真】新しい家臣が初登場「最新相関図」
(Lmaga.jp)
