みんなで遊ぶ映画『タローマン』昭和100年を駆け抜けた「会える」映画監督と主演俳優in塚口
昭和100年=2025年8月に封切られた話題の映画『大長編 タローマン 万博大爆発』が、ついに3月8日テレビに初登場する。本作は独自の世界観をもつ唯一無二の芸術家・岡本太郎氏の作品をモチーフにしたヒーロー(?)タローマンや奇獣が活躍する「特撮映画」で、1970年の『大阪万博』と、昭和100年の架空の「万博」が開催される時代を描いた、べらぼうな作品だ。
配給会社の担当者も「公開直後からまさかまさかの大ヒットで…」と「予想外の展開」を隠せない中、「太陽の塔」に最も近い映画館「109シネマズ大阪エキスポシティ」(吹田市)では、毎週末「応援してはいけない応援上映」を行い、1月18日まで奇跡のロングラン上映。同館をはじめとする関西圏では特に「ご当地映画」としての盛り上がりをみせた。
そして「応援上映」と言えば、そう、超個性派映画館「塚口サンサン劇場」(尼崎市)である。同館でも、紙吹雪やクラッカーなどで盛り上げる「応援してはいけないマサラ上映」スタイルで「昭和100年」の最後に満を持してイベント『塚口大爆発』を実施。本作で監督・脚本ほか八面六臂の大活躍の藤井亮、タローマンなど約12役を演じた主演の岡村渉の両名がサプライズ登場した。今回は『塚口大爆発』体験後の、インタビューとともに当日の様子を紹介する。
◆ クレイジーな映画ファンが集まる塚口サンサン劇場「応援してはいけないマサラ上映」「マサラ上映」当日、タローマンに登場する水差し男爵やエラン、地球防衛軍(CBG)メンバーなどのコスプレーヤーたちが続々劇場に集まってくる。映画の公式グッズをカスタムする人、岡本太郎の概念アイテムを自作する人、岡本太郎氏の著作『自分の中に毒を持て』を持つ人…などなど個性爆発な老若男女が塚口サンサン劇場「シアター4」に続々と入ってきて、かなりカオスな状態に。
そんな中でも、ひと際目立つ藤井、岡村の両名がサプライズ入場し、最後列に着席すると、場内は一時騒然となった。
恒例のアンケートタイムで名物社員・戸村氏から「塚口サンサン劇場、はじめてという人~?」「マサラ上映初めてっていう人~?」と問いかけがあると、何人かのお客さんに交じって、岡村渉も元気よく高らかに挙手。早速、クラッカーや紙吹雪による歓迎を受けていた。
いよいよ本編がはじまると「豪勢スタジオありがとう!」など続々と掛け声が。「爆発だ、爆発だ、爆発だ、芸術だ!」とシンガロング、尋常ではない量の紙吹雪が舞い、クラッカーがうち鳴らされる。
各キャラクターが登場する度に大きな歓声が沸き、タローマンに対しては、口々に「帰ってくれ!」「こっちに来るなタローマン!」と「タローマンを応援してはいけないよ」の原理原則を順守した声援で盛り上がる。定番の「わしのビルが…」「社長~!」でコール&レスポンス、ユートピアエナジーバーを摂取するサイリウムなどは、完成度の高い団体芸の域に…。
◆ まるでファンミ!?映画上映後、監督&主演俳優が出口でお見送り、2ショットタイムも上演後には呼び込みを受け、藤井監督&岡村渉がステージに登壇し、紙吹雪の洗礼を受けながらマイクを握る。壇上から参加者のコスプレや、制作物をチェックし、客席に突っ込んでいく場面も。
突然質疑応答タイムは、「ここまで何で来ましたか?」の直球勝負からスタート。「宝塚線です」と即答する岡村の様子に、笑いとどよめきが…その後も続々質問が飛び出し、映画ファンたちとの交流が続いた。
そして最後は2人が参加者ひとりひとりのお見送りまで。もはやこれは「ファンミ」では?という、交流たっぷりの展開となった。
◆ 「スクリーン見えなかった」「台詞聞こえない」約100分を藤井監督&岡村渉と振り返る全国各地の映画館で、本作の「応援してはいけない応援上映」が多数開催されたが、紙吹雪やクラッカーで盛り上げる「マサラ方式」での上映は、ここ「塚口サンサン劇場」が初だった。自ら客席に座り参加した藤井監督、岡村渉とともに、べらぼうな約100分を振り返る。
──「塚口でマサラ上映やりましょう!」となったのは、『RRR』の応援上映(2025年10月開催 「塚口ナートゥは止まらない」)に参加されたのがきっかけ、と聞いています。塚口サンサン劇場のことは、以前からご存知でしたか?
藤井:関西でマサラ上映といえば『塚口サンサン劇場』ですよね。やっぱり有名ですよ。いつか行ってみたいなと思っていて、僕はその時が初訪問でした。『RRR』の応援上映は、いい機会になりました。やはりタローマンにマサラ上映があうかどうか、実物をみてみないとわかんないということがあったんで、参加したんです。
──『RRR』のマサラ上映参加は「偵察」みたいな感じだったんですね。結果、タローマンに合うと?
藤井:はい。絶対やったほうがいいねと、参加した当日にすぐ「マサラ上映」開催相談をしました。
──実際に今日、客席最後列で体験されていかがでしたか?
藤井:本当に、マサラにすごくぴったりでした。『タローマン』自体がすごく鮮やかな映画なので、そういう意味もあって、すごくマサラの紙吹雪と相性が良いのを、実感いたしました。
──シーンによって色を変えたり、とってもきれいですよね。岡村さんも今日がはじめてだと。
岡村:こちらの映画館も、マサラ上映も、はじめて体験しました。1番後ろの席からなんで、もう全部見えました。一番びっくりしましたのは、あんな花火みたいに、ピシャ~っと広がる紙吹雪。真上にふわふわ、という紙吹雪をイメージしてたんで、想像してたんと全然違う競技やわぁ…って思いました(笑)
──まさに、マサラ常連の方の職人技が効いてましたね。
藤井:本当に上手でしたね。すごかったです(笑)
岡村:花火というか、噴水みたいに、高くひゅーって上がってましたね。紙吹雪じゃない物体を味わいました。スクリーンも見えなくなってきて、紙吹雪越しからのスクリーンみたいな…。すごい盛り上がってましたね。
──今日は歓声もすごかったですね。セリフも聞こえないところも…
藤井:ありました、ありました。セリフ聞こえないな、音ちっさいなぁって…(笑)
──かなり爆音で上映しているので、それが声援でかき消される、っていうのはなかなかなことです。
岡村:タローマンの映画自体、盛り上がるポイントがたくさんあるなっていうことを、今回マサラ上映で観て、改めて思いましたね。なんかタイミングもみんなどんどん揃ってくるし。
──確かに「社長~!」も初めちょっとバラッとしたとこあるんですけど…
藤井:最後、完全に揃ってました!
岡村:最後の揃いようは、ヤバかったです。最後「来るぞ来るぞ ウウンッ(咳払い)」「社長~!」みたいな。みんなやってましたよね。
◆ 「会えるアイドル」いえ「会える映画監督と主演俳優」です──今回、同日に新潟県上越市の「高田世界館」でもマサラ上映があったり、全国各地で応援上映が開催され、盛り上がってきましたよね。配給会社の方から、おふたりが「知らないとこで稼働されている」と聞きましたが…
藤井:行けるところは行こうと言う感じで。
岡村:今まで応援上映も、普通にプライベートというか、予定せずに参加したというのが、何か所かありましたね。
藤井:各地で特徴がありますが、塚口は特に劇用自体のファンが多いというのが印象的でした。面白いですよね。
──自ら足を運んで、というスタンスですよね。X でも「プロモーションの費用がないから自ら動きます」みたいな発信もされていました。
藤井:元々そういうプロモーション予算はほとんどなかったので、まぁ自分たちでやるしかないな、って思いますし、僕自身がもともと広告の人間なんで、もっともっとこうやったらうまくいくのに、って。そういうアイディアもあるので、それを自分でやっている形で。
──確かに公開直後だけでなく、ずっと稼働がある映画プロモーション特殊ですが、それが何十回と観ました、グッズ作りました、みたいなファンの熱狂に繋がってる部分もあるのではないかと。
藤井:やはり、期待に応えたい!というのはありますね。映画を作ってから謎のボランティアが1年ぐらい…本当にお金にならない作業は、結構大変ではあるんですけども…。
──おふたりのサービス精神はすごいです。
藤井:そういう意味では、方向性違うけど、ふたりともサービス精神はあると思います。
岡村:僕はただ目立ちたいだけです(笑)宣伝しようとか、思っていなくて、この作品をきっかけに、人気者になりたいなって。
──映画のプロモーションをする監督と人気者になりたい岡村さん。確かにベクトル違いますね。
藤井:プロモーションしたい、っていうより、本当にお客さんが楽しんでもらいたいが一番。そこはふたりの共通の想いじゃないかな。
──今日も参加者のみなさん、みんないい笑顔でしたもんね。
藤井:いわゆるコマーシャルバンバン打つというのも、広報ではあるんですけど。こういう映画を作ったからには、みなさんにエンターテイメントとして、みなさんが楽しんでくれる形でやっていきたいなと思っています。これやったら面白いんじゃないかなを、自分たちでできるだけやってきた形です。
岡村:「会えるアイドル」みたいな。ファンのみなさんとたくさん触れ合ってきて、みなさんの顔を覚えてきました。各イベント来てくれる人たちとか、どんどんみんなお友達になってきています!作品を通してファンのみなさんと一緒に盛り上がれるのが、嬉しいです。
──「会える映画監督と主演俳優」ですね。最後にファンのみなさんにメッセージをお願いします。
岡村:この映画は、「自分で楽しみ方を探していく」という特殊な作品。映画をみていないときでも、僕自身が人生をどう楽しむか、ということを改めて考えるようになりました。作品からも、ファンのみなさんからも元気とパワーをもらっていますね。応援上映、マサラ上映、二次創作など、それぞれ楽しんでもらっているとは思いますが、自分の生活をどう楽しむか、どう人生を豊かにしていくか、そんなことを考えるきっかけに、映画『タローマン』がなれれば嬉しいです。
藤井:二次創作とか、いろんなものをみなさんがつくってくれているのはありがたいです。もともと岡本太郎も、自分の作品が世に出てからは、自分のものではない、というようなことを言っています。そもそも映画自体が岡本太郎の二次創作のような作品なんで、そこからさらにみんなが『タローマン』を自分たちのものにして、いろんな遊び方をして楽しんでくれるのがすごく嬉しいです。
この作品はずっと続いています、とか、すぐ続編作ります、というような性質のものではないので、ファンのみなさんが一緒になって、映画を広めてくれたことに感謝です。これからも一緒にタローマンで遊びましょう。
◆
『大長編 タローマン 万博大爆発』は、3月8日のNHKBSでの放送のほか、U-NEXTにて独占先行レンタル配信中。また、3月27日にBlu-ray&DVDが発売される。詳細は公式サイトで確認を。
取材・文・撮影(一部)/Lmaga.jp編集部
撮影/関西キネマ倶楽部
(Lmaga.jp)
