ヤマザキマリ、話題の【五輪開会式ゲスト解説】の秘話明かす「あんなに興奮して…」
漫画家・ヤマザキマリの展覧会『ヤマザキマリの世界』が2月21日より、京都駅ビル内「美術館『えき』KYOTO」(京都市下京区)でスタート。前日の内覧会にヤマザキが出席し、創作活動への思いや五輪解説の裏話を語った。
■ 「その場で何が出ても喋れる人を!と呼んでいただけた」
17歳でイタリアへ留学して油絵を学び、イタリア人との結婚を機に様々な国で暮らしてきたヤマザキ。その経験をもとに書かれたエッセイや、古代ローマと日本の入浴文化をクロスオーバーさせた代表作『テルマエ・ロマエ』など個性あふれる漫画で人気を博している。
2月6日から開催されたミラノ・コルティナ冬季五輪の開会式のゲスト解説では、独自の視点や表現力が話題に。「開会式はレオナルド・ダ・ヴィンチや(ジョルジオ・)アルマーニがテーマになるらしいから、この2つをその場で何が出ても喋れる人を!と呼んでいただけた」と明かしたヤマザキ。
五輪が題材の漫画も手がけたことがあり、「開会式を見る度にこれ今、ギリシャ人が見たらぶっ飛ぶよな、『まだやってんの』と絶対思うよな」と構想をふくらませ、「なぜ人々は運動する人にこんなに熱狂し、運動が社会でこれだけの統括力を持っているのか」考察したのが『オリンピア・キュクロス』という作品。その結果、「運動は人間力をどこまで発揮できるかの挑戦」との答えが出たそう。
今回の開会式についても、演出統括から「スポーツの祭典だが、イタリアはありとあらゆる方向性での人間力に妥協がなかった。ファッション、芸術、音楽など人間のスキルをコスパ・タイパとは正反対にどこまでいけるかのトライだった」と話を聞いたそうで、「開会式を見た時に、五輪本来が持っている物がここに集結していると気付いて…だから、あんなに興奮して喋っていたと思います」と笑顔をみせた。
■ 「『好き』だからじゃなく…」仕事への熱い思い
本展では「漫画家・画家・著述家」という3つの側面に着目し、4歳の時のお絵描きから、人気漫画の手描き原稿、エッセイなどへの寄稿イラスト、山下達郎のジャケット用に描かれた油彩肖像画など、彼女の軌跡を辿る多彩な作品を展示。
幼少期の絵日記や絵本には、創作活動の原点が垣間見れ、「子ども時代の絵は他にもダンボール3箱ぐらいありまして、母が1枚も捨てていないんです。おもしろいと思ったのが、文字と絵を合わせたものが多く、昔から絵を描くことと、言語でしか表現できない世界観が共生している」と、後の漫画への繋がりも。
貧乏時代での出産を機に、1度は油絵画家をあきらめたヤマザキ。「漫画家を志していた訳ではない」との思いがあるからこそ、「仕事って『好き』だからじゃなく、『向いている』ことをするもの」と熱弁。「肩がボロボロになるこんなに大変な漫画を30年も続けているから、こういう表現を生業にしてしか生きていけない」と実感し、試行錯誤から多彩な作品を生み出している。
展覧会『ヤマザキマリの世界』開催期間は3月30日まで。時間は10時~19時30分(入館は閉館30分前まで)。料金は一般1100円ほか。
取材・文・撮影/塩屋薫
(Lmaga.jp)
