創業76年の老舗が新たな試み…KITTE大阪の新店で「お好み焼き体験」、西梅田焼などオリジナルメニューも
大阪の食文化を象徴するお好み焼きの老舗「お好み焼ゆかり」(大阪市北区)が2月20日、「KITTE大阪」4階に新店舗をオープン。創業76年を迎える「ゆかり」が、新店舗で提供するのが「体験」だ。
プロの指導を受けながら自ら焼き上げる体験教室をはじめ、店舗オリジナルメニューも登場。店頭には、きっと新たなフォトスポットとなるであろうと期待される「黄金のコテ」が燦然と輝く。伝統を守りつつ進化を続ける「ゆかり」の新たな試みを聞いた。
■ 黄金のコテが繋ぐ「縁」と、西梅田への戦略的進出
「お好み焼ゆかり KITTE大阪店」でまず目を引くのは、入り口に立つ高さ約160センチもある巨大な「黄金のコテ」だ。これには、屋号の「ゆかり」にちなんだ、人と人とのご縁に恵まれますようにという想いが込められている。
「黄金」といえば、同社は2025年に開催された『大阪・関西万博』に1週間限定で出店し、万博特別メニューとして、かつお節のかわりに金箔をのせた「黄金の豚玉」を提供して話題になった。「黄金」にこだわる理由を、同店店長の冨士原浩介さんは次のように語る。
「特別感を演出して、皆さんに喜んでいただきたいという狙いがあります。黄金のコテは、訪れてくださる人々を温かく迎え入れる、新たなフォトスポットとしての役割も期待しています」。
梅田でお好み焼きといえば「ゆかり」という存在感を目指したいともいう。
期待する顧客層は、平日のビジネスマンから週末の観光客まで幅広い。20代から40代のサラリーマンや施設で働く人々はもちろん、インバウンドの旅行客も視野に入れた、全方位型の店舗戦略を展開するという。
また、「KITTE大阪」は1階に大型バスを着けられるため、観光客が店にアクセスしやすい絶好の場所にある。そのためツアーガイドにも案内が簡単で、社員旅行や修学旅行などの団体利用にも期待を寄せる。
■ 大阪の粉もん文化の象徴、「お好み焼」を自分で焼く体験
同店の最大の特徴は、お好み焼きについてプロから学び、自ら焼き上げる「お好み焼体験教室」ができることだ。
これまで「ホワイティうめだ店」(大阪市北区)など地下街にある店舗は、消防法や排気設備の都合上、客席の鉄板で自ら焼くスタイルをとれなかった。しかし、天井が高く最新の換気設備を備えた「KITTE大阪店」では、その課題がクリアされている。冨士原さんは「焼く楽しさを味わってほしい」という。
体験教室は4名から開催でき、少人数のグループ旅行でも気軽に参加できる。大阪のソウルフードを「味わう」ことのほかに「体験」を加えて、一生の思い出として持ち帰ってもらうのだ。お好み焼をはじめて焼く人も心配はいらない。
店内のモニターには、鉄板に油を引くところから焼きあがるまでの行程が、動画で繰り返し流されており、各テーブルにも、焼き方の説明書が写真入りで用意されている。「お好み焼体験教室」は1セットが約90分で、終わりには「免許皆伝認定証」の免状とカードが授与される。
■ 焼きながら、いつのまにか会話が生まれる「鉄板コミュニケーション」
体験以外にも、提供されるメニューには、同店だけのオリジナルがラインナップされている。それが、地域の名を冠した「西梅田焼」(1680円)や、梅の風味を活かした「梅だぁ~塩焼そば」(1200円)。
さらに、「ゆかり」店舗では最大規模となるお土産コーナーも併設されており、新商品を含む16品(冷凍食品10品、常温商品6品)が常備されている。
しかも、お土産コーナーにも同店でしか入手できない商品がある。それが「お好み焼セット 5枚分」(950円)で、具材を用意すれば「ゆかり」の味が家庭で楽しめる。
冨士原さんは、鉄板を囲んで摂る食事を「鉄板コミュニケーション」と呼ぶ。鉄板越しにお互いの人間性を感じ、心の壁を取り払って打ち解ける。それは「ゆかり」が創業以来大切にしてきた、日本から世界へ伝えていきたい貴重な食文化だという。
実際、筆者が取材に訪れた際も、隣にいた他社メディアの記者といつのまにか打ち解けて、会話が弾んでいた。
「お好み焼きの体験がひとつの思い出になり、店員とお客様という関係を超えた『縁』として、お互いに笑顔になれる関係を築きたいです」と店長は語る。
大阪の食文化を再発見し、人と人を繋ぐコミュニケーションの場として、これから「KITTE大阪店」が果たす役割はきっと大きくなることだろう。
取材・文・写真/平藤清刀
(Lmaga.jp)
