宝塚退団3年 潤花「弱い自分も受け入れられるように」家族が応援してくれた宝塚歌劇団への道
2月7日に「梅田芸術劇場メインホール」(大阪市北区)で開幕したミュージカル『ISSA in Paris』に出演している、元宝塚歌劇団宙組トップ娘役の潤花。得意のダンスを活かし、海宝直人演じるシンガーソングライターの海人とパリで出会う、ガイド兼振付家のルイーズを好演している(2月15日まで上演)。
2023年6月に宝塚を退団後、ミュージカル『二都物語』のヒロイン・ルーシー役を演じるなど、舞台や映像で活躍を続けている彼女に、現在の心のスタンスや、思い描く理想について話を聞いた。
取材・文/小野寺亜紀 撮影/Lmaga.jp編集部
■ 「自分は自分!」目の前の仕事にフラットに集中--宝塚歌劇団を退団されて、今年の6月で丸3年となりますね。
「え、もう3年なんだ!?」と驚きました。2年ぐらいの感覚でした(笑)。
--退団後、心境の変化などありましたか?
ダメな自分も、弱い自分も、ちゃんと受け入れられるようになって、焦らなくなりました。結局、焦っても何も変わらないと思えるようになって。
もちろん目標や夢はあったほうがいいと思うのですが、以前みたいに「私は絶対こうなりたい!」と思うような感覚は消えました。その分、目の前のいただいているお仕事に、フラットに集中できるようになったと思います。
--仕事との向き合い方が変わったのですね。
そうですね。ありのままの自分で、と自分を見つめられるようになりました。「自分は自分!」と、ストンといられている気がします。
--それは大きな変化ですね。
楽しいことばかりではなくて、正直大変なことのほうが多いですけど、それも全部意味のあることだと思えるようになりました。そういう時間がないと、自分のやりたい仕事が積み重なっていかない気がして。だから、なるべくその大変さも含めて楽しもうとしています。
■ 自分が弱っていると感じた時、解決策は…?--潤花さんはこの取材で、「クリエイティブな仕事は心が元気でないと、言葉が出てこなくなる」というお話もしてくださいました。(?)
でも人間なので、ずっと元気ではいられないですよね。だから人に頼ることと、自分が弱っているときは「今、弱ってます」と、きちんと提示することを大事にしています。元気でない時や辛い時ほど、芯のある深い感情を学ぶこともありますからね。
--以前より人に頼れるようになったと。
めちゃくちゃ甘えるようになりました(笑)。お稽古中でも、「これ、全然できてないな」と思ったら、今回(『ISSA in Paris』)ご一緒している豊原江理佳ちゃんに、「ここがうまくいってなくて」と相談したり。公演中も歌を聞いてもらったりしています。
--ダメな自分を隠さない、ということですね。
隠さないです。人に頼れば、解決策が早く見つかることもあると、宝塚時代に真風涼帆さん(コンビを組んだ元宙組トップスター)から教えていただいて。それは退団後もずっと変わらずで、今も本当に人に支えられています。
--宝塚といえば、102期の同期の皆さんもそれぞれ活躍されています!
頑張っていますよね!
--舞台を観て元気をもらうこともありますか?
なかなかたくさんは観に行けていないのですが、宝塚でできた同期の絆って、永遠だなと思います。会えなくても、離れていても、ちゃんとつながっている。支え合っている感覚があり、本当に特別なものですね。
■ 『ISSA in Paris』で共演中の宝塚OG 彩吹真央に「素敵です!」と告白--現在ご出演中の『ISSA in Paris』には、海宝直人さんが演じられる海人の母親・絹子役と、小林一茶の実母・クニ役で、元雪組男役スターの彩吹真央さんがご出演されています。(※絹子役・クニ役は、藤咲みどりさんとのWキャスト)
ゆみこさん(彩吹)とはじめてご一緒させていただいたのですが、そばにいるだけで安心感があります。あの温かい雰囲気も大好きで、醸し出されるものが、魅力に溢れてるなと感じます。そして、チャーミングなところも本当に素敵で、いつもご本人に告白してしまってます(笑)。
--(笑)。海人は、著名な俳句研究家である母親のもとで、幼いころから葛藤を抱えています。そこに潤花さんが演じられるパリのガイド兼振付家のルイーズが関わっていかれるのですね。
はい。この作品には、海人の家族の物語が描かれています。家族のなかではやはり、誤解やすれ違いもある。でも、人を愛する方法はひとつではないし、ただ優しいだけが愛ではない…。絹子さんの海人への愛の伝え方に、最後心を打たれる方が多いのも、その部分だと思います。
この作品の大きな魅力は、お客様の捉え方が自由なところ。自分の居場所は自分で探していい、などいろいろなメッセージが込められているので、最後は自由に解釈していただけたらと思います。
--大きなものを持って帰られそうですね。
そうなんです。そのなかで私はルイーズとして筋を通し、舞台上でセリフがないところでも目線の動きなど、意図しながら演技をしているので、それを自由に受け取っていただけたらうれしいです。
■ 両親が応援してくれた宝塚歌劇団への道--潤花さんは北海道旭川市ご出身。今年のお正月に一泊だけ実家へ帰られていたそうですね! やはりご家族はご自身のなかの大きなベースですか。
はい。私、家族に会うとすごく前向きになれるんです。どんなに時間がなくても帰ります。実家では本当に何もしないで、母の手料理だけ食べて帰ってきました。
--それはほっこりできそうです。
一番近くにいる人ほど、わからないこともある。家族でも、生まれたときから一緒にいても、わかり合えないことや、家族だからこそ言いにくいことがありますよね。でも、そういう衝突や距離感があるからこそ、家族の絆が生まれるのだと思います。
--潤花さんが宝塚音楽学校を目指されたとき、ご両親の反対は?
全然なかったです。むしろ家族が一番楽しみにしてくれていました。
--もともと踊りをされていたんですよね。
小学校2年生くらいからクラシックバレエをしていました。踊ることも好きだったのですが、それ以上に表現すること、お芝居をすることが好きで。ドラマや映画も大好きだったので、「お芝居をしたい。女優さんになりたい」という気持ちが原点ですね。
■「ご縁やお仕事、人との出会いを、自分らしく大切に積み重ねていく」--今、宝塚とは違う世界で、いろいろな俳優の方とご一緒されて刺激は多いですか?
すごく多いです。皆さんそれぞれに魅力があるからこそ、この世界はおもしろいと感じます。特に歳を重ねた先輩方の魅力は、唯一無二だなと。いろいろな方の生き方を拝見し、「私もこんなふうに、楽しく人生を歩んでいきたい」と思います。
--特に影響を受けている方はいらっしゃいますか。
皆さん素敵なんですけど、先ほどお話したゆみこさんもそうですし、舞台で共演した塩田朋子さんや池谷のぶえさん、ドラマでご一緒した矢田亜希子さんは普段から仲良くさせていただいています。皆さん本当に自分らしく、いろんなことに向き合っていらっしゃる。その姿が、魅力につながっているんだなと感じます。
--では潤花さんにとっての理想は、皆さんのように素敵に歳を重ねていくことでしょうか。
はい。目先のことよりも、今いただいているご縁やお仕事、人との出会いを、自分らしく大切に積み重ねていく。そうして受け取ったものを胸にしまっていけば、自然となりたい自分に近づいていけるのではないかなと思っています。
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ミュージカル『ISSA in Paris』は、2月15日まで「梅田芸術劇場メインホール」で上演。その後、愛知「御園座」(名古屋市中区)でも公演。チケット発売中。
(Lmaga.jp)
