「当たり前の風景が…」大阪で唯一、近鉄駅構内の新聞雑誌スタンド最後の1日、昭和の面影またひとつ…

近鉄大阪阿部野橋駅(大阪市阿倍野区)構内の4番ホームで、長年営業を続けてきた、新聞・雑誌のスタンド売店が、2025年12月25日に営業を終了した。昭和の面影を残す風景が、大阪からまたひとつ消える。

毎日16時になると、木製の台を組み立て、その上に雑誌や新聞、書籍などをズラリと並べる。そんなスタイルで、同駅を利用するサラリーマンらを迎えてきた。

近畿日本鉄道の広報担当者によると「自分たちにとって当たり前の風景でした。いつから営業していたか正確な記録は残っていないんです」ということだが、少なくとも60年以上は営業をこの場所で続けてきたようだ。しかし、時代は流れ、新聞や書籍の販売数は減少の一途。売店も惜しまれながら閉店することになった。

◆ クリスマスに笑顔と涙の最終営業…常連客や関係者が続々訪れクリスマスで賑わう天王寺。「金曜日は雑誌の発売が少ない曜日」ということで、月曜日から木曜日まで営業するこの場所で、60年以上続いた店舗が最終日を迎えた。この日は、常連客や、関係者などが次々訪れ、スタッフに感謝の言葉を伝え談笑したり、差し入れや手紙を渡したり。温かい雰囲気に包まれたラストデイとなった。

同駅の谷口副駅長から、長年スタンドで明るい接客を続けてきたスタッフに花束が贈られ「時代の流れとはいえ、とてもさみしく残念。これまで続けてきてくださったスタッフのみなさんに感謝申し上げます」とこれまでの労をねぎらった。

運営元の「親栄会」の石原社長によると、売店では81歳の社長の母ふくめ3人のスタッフがローテーションして勤務していた。通勤のサラリーマンがよく利用していることから、売れ筋は「マガジン」や「サンデー」「ヤングジャンプ」など漫画雑誌。そのほか、新聞や、カレンダー、書籍なども扱っていた。

スタッフの一人は、「お客さんとの会話が楽しくて。人間ウォッチングもできる面白い職場でした」と笑顔で振り返り、別のスタッフは「本当にさみしくて。でも最後にこうしてみなさんに来てもらって、花束をいただいたり、声をかけてもらったり。ご褒美ですね」と涙で語った。

スマートフォンで漫画を読む人が増え、また雑誌を買うにも同駅構内には、「ファミリーマート」もある。まさに時代の流れにより、阿部野橋駅の「当たり前の風景」が消えるわけだが、このような駅構内で営業する雑誌スタンドは、関西では最後の店舗だった。「親栄会」が運営する複数駅に設置している新聞の自動販売機は今後も継続する。

取材・文・写真/Lmaga.jp編集部

(Lmaga.jp)

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