人気の『関西蚤の市』で、なぜ今や見かけなくなった「パン食い競走」開催…?キーワードは「古き良きものを愛す」
古道具や雑貨などを販売する全国のこだわりのショップや、作家が大集合する人気イベント『関西蚤の市』が、大阪の「万博記念公園」(大阪府吹田市)で、3日間開催された。買い物以外にも、さまざまなパフォーマンスやワークショップが会場で開催され、今回は初めて企画された、パン食い競走など「運動会」も大盛り上がりだった。
風もほぼなく、この時期にしては暖かいイベント最終日の12月7日に取材。会場には、国内・海外のアンティークや古道具、器、紙もの、植物、フードやおやつなどが並び、多くの人が青空の下で、のびのびと買い物を楽しんでいた。今年の出店者数は231組。来場者も3日間で約2万人と盛況だった。
◆いまは少なくなった「パン食い競争」に初挑戦する子ども、さらに大人も参戦!
そんな会場の中に、突如現れた「パン食い競走」のエリア。スタッフが「パン食い競走初めての人~?」と尋ねると、参加するほとんどの子どもたちが初めの体験だと勢いよく手を挙げた。昔は運動会の定番競技だった「パン食い競走」。一説によると明治時代からある競技ながら、最近はそんな機会も少なくなり、「初体験」が多いようだ。
続けてルール説明のあと、スタートの笛が吹かれると、一生懸命にパンの袋にかみつこうとするものの、なかなかうまくいかない。2人でひとつを取り合うなど愉快な展開に、周りで見守る保護者にも笑いが漏れる。
次におとなの部も開催されたが、予想以上に全力でパンを取りにいく参加者たちの姿に、見ている人達もほっこり。
ほかに、「綱引き」や「玉入れ」もおこなわれ、どの回も大盛り上がり。こちらでも気軽に参加しながら、次第に「ガチ」になっていく大人たちの姿が…。見守る人たちふくめ、笑顔あふれるあたたかい空間だった。
◆ご当地パンで「パン食い競走」!キーワードは『古き良きものを愛す』
「蚤の市」で運動会を開催、また、それを受け入れて盛り上がる来場者たちについて、イベントを運営する「手紙社」(東京都調布市)の「関西蚤の市事務局」の中村隼人さんに話を聞いた。
「手紙社のイベントは、『蚤の市』に限らず、毎回イベントが開催されるごとに、必ず新しい要素を入れるということを大切にしています。『蚤の市』は、「出店者」、「音楽ライブステージ」、「アトラクション」という体験が3本柱。その3本の中に、それぞれ要素を毎回増やしていくことで、このイベントに何度も足を運んでいただいている方も、毎回新鮮に感じていただけるように工夫しています。今回、その新しい要素のひとつが今回の『運動会』でした」と開催の経緯を話す。
しかし、なぜ「運動会」という発想に至ったのかを質問すると「このイベントは『古き良きものを愛す』がテーマ。伝統的な遊びも楽しんでもらいたいなと思いました。子どもの笑顔って無条件に幸せになるじゃないですか。お子さん自身も楽しいし、それを見る保護者の方々も楽しい、みたいな。それに加えて、大人がガチで取り組んでいるのも、それはそれでいいですよね!大人になってから、一生懸命に何かをすることってなかなかないので」
さらに「パン食い競走」に使用する「パン」にもこだわりが。「実は、見た目もおもしろい、食べてもおいしい『ご当地パン』なんです」と言い、ここにもさすが『関西蚤の市』らしい、ひと捻りが。そんな細かい部分まで徹底的にこだわる姿勢が、根強いファンたちに支持される理由のひとつだと感じた。
次の関西での「手紙社」主催のイベントは、『紙博 in 神戸 vol.3』。開催日程は、2026年2月13日14日15日の3日間。「デザイン・クリエイティブセンター神戸 KIITO」(神戸市中央区)で開催。詳細は12月中旬に公開予定の公式サイトで確認を。
取材・文・写真/太田浩子
(Lmaga.jp)
