『エリザベート』で麻路さき手本にトートを演じた彩輝なお、2人が語る演出秘話…「宝塚の代表作」ができるまで

2026年、ウィーン発の大人気ミュージカル『エリザベート』が、宝塚歌劇団雪組による初演から30周年を迎える。これを記念し、歴代のキャストを中心に総勢58名が、さまざまなバージョンで出演する『エリザベート TAKARAZUKA30th スペシャル・ガラ・コンサート』が、東京・大阪・愛知で開催される。

初演に続く星組公演(1996年)で主役のトートを演じた、元星組トップスターの麻路さき。その星組新人公演で主演し、2005年月組公演のトート役で宝塚を卒業した元月組トップスターの彩輝なお。縁の深いふたりが、大阪で取材会を開き、当時のエピソードなどを語った。

■ 試行錯誤の連続だった再演の稽古場…「宝塚の代表作」ができるまで麻路は、今では定着したものもあるトートのさまざまな演出について、「30年前は、やるかやらないか『試し』の連続の稽古場でした」と回想。演出家・小池修一郎氏と何度も話し合いながら進めていったという。

「雪組さんと同じことをしてしまうと、どうしてもお客様が比較してしまう。視覚的にも違うものにしたいと思い、『私はこちらから出たい』など小池先生に伝えました。そのほとんどを受け入れてくださり、感謝しています」。

特に麻路のお気に入りシーンが、1幕のラスト。「トートが銀橋から登場して座り、フランツとエリザベートを、『この野郎』みたいに見つめて歌ったあと、最後はトートが手を上から下へおろす。そのタイミングで、緞帳をおろしてもらいました。全部を操るトートという感じで、気持ち良かったですね」と振り返る。

創意工夫に満ちた感情豊かな麻路トートは、『エリザベート』の可能性をさらに広げた。その麻路トートを、「すごく素敵で、男役としてもダイナミックさや包容力などをお手本にしていた」と言うのが彩輝。

彩輝はトップとしてトートを演じたとき、「1幕でエリザベートの寝室に忍び込む場面、先に手だけを見せてヒュッとろうそくの灯を消す、という演出があったのですが、その手の表情がすごく麻路さんに似ていたようです」と明かす。

小池氏は稽古場で、「まりこ(麻路)の真似をしないで。あなたに得ではないよ」とアドバイス。「真似をしているつもりはなかったけれど、麻路さんのトートや男役像を自分の中で大切にし、取り入れようと思っていたからでしょうね」と笑う。

■ 嫁姑の確執も描かれ、幅広い層の心をつかむ麻路は、一路真輝の卒業公演でもあった初演の雪組をリスペクトしつつ、「星組では歌を先行すると、自分が思った表現を身体で表せなかったので、ミュージカルと思うのはやめて、これはお芝居だ、芝居の台詞にたまたま音が乗っていると思って作っていきました」と打ち明ける。

いまや宝塚の代表作になった『エリザベート』。彩輝はその魅力について、エリザベートとゾフィーの関係にも触れ、「王宮の話ではあるのですが、嫁姑の確執問題というところも、日本人の心に響き、親しみをもって愛される作品になったのかなと思います」と言うと、麻路も「そうだね」とうなずいた。

■ 30周年で懐かしくも新鮮な組み合わせが実現今回麻路と彩輝は、それぞれトップ時代の「アニヴァーサリーバージョン」に出演し、本編をコンサート形式で上演する。さらに、複数のキャストが揃う「アニヴァーサリー30周年バージョン」で共演を果たす。

「星組バージョンは、だいたい当時のメンバーがそろいました。ルキーニは紫吹淳ちゃんだったのが、湖月わたるちゃんですが、私から見ると彼女は星組っ子ですし楽しみです」と麻路。

彩輝は同期の月影瞳演じるエリザベートと組むなど、懐かしくも新鮮な組み合わせ。「みんないろいろな経験をしてきているので、それが味となり、肉づけされていけばいいですね。初めて出会う下級生もいますし、みんなで融合して作りあげるのが楽しみです」と、貴重な共演に期待を寄せた。

本作は2月6日に東京で開幕。大阪公演は2月28日~3月15日に、「梅田芸術劇場メインホール」(大阪市北区)で上演。その後、名古屋でもおこなわれる。チケット一般発売は12月13日から。詳細は公式ホームページで確認を。

取材・文・写真/小野寺亜紀

(Lmaga.jp)

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