商店街&市場で買ったおつまみを持ち込んで…神戸・水道筋商店街を丸ごと味わえる「クラフトビール醸造所」連日賑わう

神戸市灘区にある商店街「水道筋商店街」は、8つの商店街と4つの市場が東西に連なる、関西でも指折りの元気な商店街だ。

JR摩耶駅と阪急王子公園駅の中間ほどに位置し、ローカルの暮らしに密着しつつも、登山客にもおなじみのエリア。銭湯好きの間で高名な「灘温泉」や、渋くて良い雰囲気の飲食店が豊富でもあり、密かに多方面の人気を集めている。

そんな「水道筋商店街」に新しくオープンした、ホットスポットを紹介したい。

■ 摩耶山の湧き水を使うクラフトビール醸造所「エルナード水道筋商店街」のみずほ銀行すぐそば、かつては洋品店だった場所が工場に改築され、ガラス戸の奥には背丈を大きく超えるタンクが8基並んでいる。

ここで作っているのはクラフトビール。2025年5月30日にオープンした「Brasserie a Route(ブラッスリー ア ルート)」、ビールの醸造所である。2階ではそのビールを楽しめるバースペースもあり、連日満席続きの大賑わいを見せている。

クラフトビールは近年のブームで名前をよく聞くが、とっつきにくいと感じる人もいるのでは。そういう人こそ「Brasserie a Route」を訪れて欲しい。

まず推したいのが、オリジナルビールの親しみやすい味わいだ。クラフトビールならではのカラーがクセにならず、個性として口当たりよく、飲む人を選ばない。開店早々、日常に寄り添うドリンクとしてリピートされているのはこの「飲みやすさ」が理由だろう。

店主いわく、「水道筋中央市場」に流れる摩耶山の湧き水を使っているからこそ実現する、クリアな味わいなのだとか。「クリアな味わい」って、ビールの説明でよく聞くけどこういうことなのか!と飲んで合点がいく。すいすいと喉が吸い込むおいしさなのに、各ビールの個性がおしゃれに香る。

もうひとつの特長が、「水道筋商店街」エリアのテイクアウト食品なら何点でも持ち込み可能になるメニュー「クラフトセット」。旅先でよくある「その土地のお酒と食材を合わせて楽しむ」の、「水道筋商店街」バージョンがここで実現できるのだ。なるほど、この地で作った惣菜も「クラフト」だ。

フードメニューは他にも数種あり、チーズや乾きものなど軽いおつまみが注文できる。おつまみ3種盛り(600円~)では店主が近隣で仕入れたおつまみを日替わりでランダムで楽しめる。手ぶらで寄ってこのセットをアテにするのもおすすめだ。

■ 水道筋歴10年超の店主直伝!おすすめお惣菜めぐり六甲の山々のふもとで生まれたお酒と食べもの、そしてこの商店街を丸ごと楽しめる仕組みを、最大限に味わい尽くしたい! 店主の橋本壮平さんに、近隣商店のおすすめおつまみを案内してもらった。

● 絶品焼豚は夕方までにゲットがおすすめ「土居商店」

「Brasserie a Route」からもっとも近い市場「灘中央市場」へ足を踏み入れてすぐ迎えてくれるのが精肉店「土居商店」。精肉はもちろん、加工肉や自家製焼豚などが豊富に並ぶ。

橋本さんのおすすめは「自家製 炭火焼焼豚」(400円/100g)。低温調理によるやわらかい身と炭火の香りがたまらない品。

ほか、ローストビーフやロースハム類も驚きのおいしさ。店の奥には揚げ場もあり、3種あるコロッケなどが魅力的。なんともそそるラインアップで、1店目からついつい買いすぎてしまう。

● 揚げたて串カツは驚きのボリュームとサクサク具合「串カツ・フライ ひので」

2店目は、灘中央市場の東側に位置する「畑原市場」の串カツ店「ひので」。希望の食材を伝えるとその場で衣とパン粉をつけて揚げてくれる形式の串カツ店だ。

定番ものはもちろん、こんにゃくやちくわなど気になるタネも。1本100円~どれもリーズナブルなのに驚きの大きさで、かなりボリュームがある。密かに人気の自家製ギョーザは揚げもしくは生での持ち帰りもできる。

● 選びきれないお惣菜ラインアップ!お買い得すぎる「とうない そうざい店」

食べごたえのあるものでメインを揃えたので、お惣菜のお店、灘中央市場の「とうない そうざい店」を紹介してもらった。ショーケースには数えきれない種類のお惣菜が並び、これなら間違いなく食べたいものが見つかりそうだ。

このほかにも、韓国料理店「jinan」、うなぎ店「川魚専門店 居相商店」、山陰のアンテナショップやパン屋など、周囲にはおすすめの店が軒を連ねており、いくら歩いてもおいしそうなものが見つかる。

宝探しのような楽しさも手伝って、欲望のままに購入してから「Brasserie a Route」にゴールすると、オシャレな一枚板のカウンターに惣菜がドカ盛りになった。

この量で、総額3200円。どれもホッとする味だけど家では作れない、磨かれた玄人の味だ。「灘中央市場」は今年で100周年。100円台~でその年季を味わえるのだ。激安と言える。

■「おいしい水と食べもの、生きた街。ここならできるかも」うまいうまいとおつまみを貪る取材チームを「そうでしょう」と見守る橋本さんは、水道筋近隣に住んで12年。近くのおいしいものを食べ歩いてきた。この店ができるまでの経緯を聞いた。

前職は飲食に直接は関わりのない、JR西日本でプロモーション・マーケティングに携わっていたという橋本さん。管理職を目前にして、手触りある距離感でものづくりを手がけたい、と独立した。

ビールづくりを選んだのは、垂水のお好み焼き屋で飲んだクラフトビールの味に感動したのがきっかけだ。「なぜこんなに美味しいものが広く知られていないのか」と疑問に思い、全国を飲み歩いて研究した。

縁を見つけて北海道・鶴居村のクラフトビール醸造所で1年間の修行を積み、ビール造りを学ぶ。醸造所が地域の中でどんな存在であるのか「誰に飲んでもらうのか」を真ん中に置いた場づくりをしたい、という橋本さんの構想が固まる1年間だった。

実現する姿が描けた地は、長年自分も住んだ水道筋だった。おいしいお酒づくりに欠かせない「水」があり、周囲においしいものがたくさんある。コロナ禍でも人通りが絶えなかったこの「生きた街」なら、と心に決めた。すると、あれよあれよと紹介が連なり、物件が決まる。「商店街の方々がものすごく協力的で。数珠つなぎで今の形に至りました」。あらゆる縁に導かれたオープンだった。

そうして今、地域の人達はもちろん、摩耶山や温泉帰りの人々も立ち寄る憩いの場となっている。北海道の修業先で見据えた形が現実になった。

「これから作りたいビールはどんなものですか?」と聞くと、「私がクラフトビールにはまったルートを、お客さんにも辿ってもらおうと思って、自分が過去に味わってきた体験を提供するイメージで作っています」と笑っていた。

なるほど、飲みやすいビールづくりの理由はここにもあったのか。クラフトビールと水道筋にやみつきになってしまう新しい場、最大限にお腹をすかせて訪れて欲しい。

取材・文/橋尾日登美 写真/Lmaga.jp編集部

(Lmaga.jp)

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