大阪で「坂本龍一」のピアノ演奏が蘇る…愛用品も展示、大規模展スタート 知られざる万博との接点も

世界的な音楽家・坂本龍一の大阪で初の大規模企画展が、8月30日から「グラングリーン大阪」内の「VS.(ヴイエス)」(大阪市北区)で開催。坂本が影響を受けた1970年の大阪万博での展示作品など、知られざる大阪との接点にもスポットをあてた空間が展開される。

■ 坂本が「大阪万博」で出合った作品とは映画音楽『戦場のメリークリスマス』、『ラストエンペラー』など世界的評価を受けた数々の楽曲で知られ、「教授」の愛称で親しまれた坂本龍一(1952-2023)。1978年に結成された3人組音楽グループ「イエロー・マジック・オーケストラ」(YMO)時代には革新的なサウンドで一世を風靡し、晩年にはアート活動や環境・平和問題への取り組みも積極的におこなった。今春まで東京で開催された企画展には34万人以上が訪れるなど、没後も多くの関心が寄せられている。

大阪での企画展は視点を変え、テーマは「1970年の坂本龍一」。まさに大阪では55年ぶりの万博が開催中だが、前回の大阪万博を18歳の時に訪れていた坂本。本展では当時の万博のために、フランスのバシェ兄弟(音響技師の兄と彫刻家の弟)が生み出した音を奏でることができる3種の造形作品「バシェ音響彫刻」が展示されている。

坂本は2016年のアルバム制作時に万博のバシェ作品を思い出し、修復されたものと再会。実際に演奏することで「楽器であり楽器でない」といわれる音響彫刻に傾倒し、楽曲に取り入れるように。会場には、来場者が演奏できる作品もあり、「東京藝術大学」のバシェ修復プロジェクトチームらが坂本のために制作したもの。手に水をつけてガラス棒をこするように触ると摩擦音が響く仕組みだが、挑戦してみると意外に力加減が難しい印象だった。

■ 愛用ピアノを展示、そして演奏も再現さらに、今は亡き坂本の「気配」を感じられるような作品も。バシェ作品の隣接エリアには長年愛用したグランドピアノが置かれ、彼の過去の演奏データをもとに5曲が再生されるプログラムとして、タッチなども再現されているそう。心地よい調べに耳を傾けながら作品鑑賞というこれだけでも贅沢な時間が流れる。

アートユニット・Zakkubalanとの作品は、暗い部屋に24台のiPhoneとiPadが小窓のように配され、坂本のNYのスタジオやリビングなどの風景が。本人の姿がないことで、返ってその存在を感じさせるポートレートに。展示室をつなぐ通路にはゆかりの品が展示されており、1970年前後の貴重な資料、学生証や大阪万博の入場券(当時は青年割引で600円!)にも注目したい。

ほかにも、天井から吊された9個の水槽に霧が発生して映像が投影される、オペラ『LIFE』を脱構築して制作したインスタレーション、坂本が最後のオリジナルアルバム『12』を確認したスタジオと同じ音環境を再現した空間などを展開。いずれも「展覧会での鑑賞」というより、「音楽=時間芸術」ととらえ、「完成した作品よりもプロセスが面白い」と語っていた彼の世界観に身を置き、全身で始まりと終わりのない音楽に包まれるだけで貴重な体験となりそうだ。

■ 坂本の愛読書を購入可&限定グッズもまた、通常は都内某所にて非公開で運営している「坂本図書」も分室として登場。心を動かした本を多くの人と共有できるよう、坂本所蔵の本を読める完全予約制空間で、大阪会場では一部の本棚を再現し、気になった本は購入できる。

グッズコーナーには限定品が続々。会場&数量限定のLP盤(3500円)には2016年・2018年・2020年に録音したバシェ音響彫刻の音源が収録され、没後初めて発表されるもの。「吉田カバン」の新ブランド「POTR」とコラボしたショルダーバッグ(2万5000円)ほか、1970年代のメモ書きなどをデザインしたポストカードやトートバッグ、坂本が愛した東京の老舗豆菓子店とコラボした柿の種缶といった遊び心あふれるものも。

『skamotocommon OSAKA 1970/2025/大阪/坂本龍一』は「グラングリーン大阪」内の「VS.」にて9月27日まで開。時間は10時~20時(入場は閉館30分前まで)。事前オンライン予約制(※日時指定枠に空きがある場合は、当日も購入可)となり、料金は一般当日2500円ほか。

11月28日には、全国の劇場で昨年4月にNHKで放送された番組を新映像とともに再編集したドキュメンタリー映画『Ryuichi Sakamoto: Diaries』が公開される。

取材・文・写真/塩屋薫

(Lmaga.jp)

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