【宝塚歌劇団】水美舞斗、前向きな生き様を最高の笑顔で見せる 宙組デビュー作『RED STONE』が大阪で開幕

4月に宝塚歌劇団の専科から宙組へ異動した男役スター・水美舞斗(みなみ・まいと)の主演作『ミステリアス・ロマン「RED STONE」~悠遠なる叫び~』が、横浜での公演を経て、「梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ」(大阪市北区)で7月10日に開幕した。

水美は抜群のダンス力や芝居心、整った美貌を活かして長年花組で活躍。2023年専科に異動後も、外部公演『HiGH&LOW THE 戦国』などに出演し実力を蓄えてきた。同期の桜木みなとがトップスターとなった新生宙組に、文字通り新風を吹き込む大きな存在だ。

華もスキルもある水美にあてて、宝塚OGの謝珠栄が作・演出・振付した本作は、彼女のさまざまな魅力を詰め込んだ多面性のあるオリジナルミュージカルに。

ヴォードヴィリアン(パフォーマー)のアレックスとして、軽やかに大道芸を披露する冒頭から、細かな動きまで水美の身体能力の高さが感じられる。

ガウチョスタイル、黒燕尾、トレンチコートなど、さまざまな男役スタイルをレビューシーン含めて披露する水美は、人を楽しませ、喜ばせるエンターテイナーの真髄や、仲間たちとの絆を、アレックスの前向きな生き様を通して体現。宙組生たちがそんな水美を信頼し慕っているのも、数々のナンバーや芝居から伝わってくる。

舞台は、1920年のイギリス。保養地バースの小さなミュージックホールで働き、第一次世界大戦で傷ついた人々に笑顔を届けようとパフォーマンスをしているアレックス。

不思議な「赤い石」を手にしたことで、先祖のある出来事や家族のつながりをたどっていくことになる。

その「赤い石」を最初に拾い上げ、アレックスに託すのが、バースを訪れていた医療ボランティアのバーバラ。月組から組替えし本作で宙組デビューした、きよら羽龍(はりゅう)が明るく演じ、ミステリアスな「赤い石」の謎に弾みを与える。アレックスに惹かれている恋心も、絶妙なバランスで表現。

本作のもうひとりのキーパーソン、ジーノを演じたのが入団11年目の男役スター・鷹翔千空(たかと・ちあき)。ある理由から貴族に恨みを抱いているイタリア移民のジーノは、アレックスと偶然出会い、負の感情に変化が芽生えていく。水美と絡む数々の芝居を丁寧に構築し、過去にさかのぼるシーンでも重要な見せ場を担い、熱演している。

ミュージックホール「PALLADIUM(パラディウム)」のミュージシャン仲間は、亜音有星、真白悠希、大路りせ、奈央麗斗という宙組注目の男役が務め、アレックスたちの会話に聞き耳をたてるコミカルな芝居などで笑わせる。

同ホールの歌手兼ダンサーとして、花組から宙組へ組替えした二葉ゆゆ、ヒロイン経験豊富な山吹ひばり、風羽咲季、花恋こまちの4人が、サプライズを含むさまざまな衣装で魅せるのも楽しい。また、元花組組長で専科の高翔みず希が、アレックスの父として水美の新たなスタートを支え、芝居を締めた。

謝珠栄は移民問題や格差社会など硬派なメッセージも絡めて本作を描いているが、一番心に迫ってくるのは、仲間と手を取り合い挑戦し続けることの尊さ。宙組を代表するナンバー「明日へのエナジー」を振り付けた謝から、宙組への温かいエールにもとれるような言葉が織り込まれている。

また娘役たちのコケティッシュな群舞に始まる充実したフィナーレでは、「ダンサー・水美舞斗」の魅力が炸裂。きよらと組むデュエットで見せる笑顔、男役たちとの群舞や最後のソロでの、大きな波動を感じさせるダイナミックなダンスなどで、活き活きと躍動した。

本作は7月15日まで上演。なお、13日16時公演は全編ライブ配信がおこなわれる。詳細は公式サイトをチェックして。

取材・文/小野寺亜紀

(Lmaga.jp)

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