突然の雨に「1日140円」で対応、大阪一部で傘シェアサービス開始 関西エリアに350カ所以上の設置目指す
梅雨や突然の雨でも便利な「傘のシェアリングサービス」が、大阪・梅田を中心に本格始動。6月26日、傘シェアの「アイカサ」が鉄道会社ら5社と連携した『傘のいらない街 大阪』プロジェクトが発表され、大阪・梅田駅から半径600m以内に、100カ所以上のレンタル傘スポット設置をめざす。
■ 使い捨て傘の課題…環境負担と経済停滞リスクも傘のシェアリングサービス「アイカサ」を運営する「Nature Innovation Group」(代表:丸川照司)によれば、日本では年間約8000万本ものビニール傘などが消費され、使い捨て傘数は世界ワースト1位。
そこで同社は2030年までに環境に配慮した廃棄ゼロをめざすプロジェクトを2022年に発足、関東では約1300カ所の傘レンタルスポットを設け、これまで12都道府県で展開している。
また雨の日は地域経済への影響もあり、大阪市が梅田エリアで実施したイベントでは天候悪化での歩行者通行量の減少、日降水量20mm以上の日は百貨店売り上げが減少傾向とのデータもあるという。このような背景のもと、『大阪・関西万博』期間中2800万人以上の来場者が見込まれる大阪、特に買い物やビジネス利用などが多い梅田で、雨でも便利な傘シェアを拡大させる狙いだ。
現状では梅田エリアの「アイカサ」設置は4カ所だが、同エリアのコンビニ店舗数を上回ることを目標に、各鉄道会社の大阪・梅田駅から半径600m以内に100カ所以上、さらに梅田沿線の兵庫・京都を含む関西エリアの約150駅、本年度中に合計350カ所以上の設置をめざす。
■ 約30秒でレンタル可能、24時間で140円1カ所に約15~20本のレンタル傘が設置されている「アイカサ」。利用方法は、まず専用アプリに会員登録し、支払い方法(キャッシュレスのみ)を選択。アプリで最寄りスポットを検索でき、現場でQRコードを読み込めば、最速で約30秒もかからずにレンタルが可能だ。
不要になった場合は、最寄りスポットへ返却して身軽に移動できる。利用料は1本あたり24時間・140円。2本までレンタル可能な「使い放題プラン」は月額280円で、1本は会社や自宅での置き傘用、もう1本は街中でのレンタル用と使い分ける利用者もいるそう。
今回の大阪プロジェクトは、「旭化成ホームプロダクツ」「Osaka Metro」「阪急電鉄」「阪神電気鉄道」「JR西日本」と連携し、各社オリジナル柄の傘が登場(「Osaka Metro」を除く)。例えば、「阪急電鉄」は阪急電車の車体色・マルーンカラーに、レールに見立てたラインが主要ターミナルの街の柄をつなぐデザイン。「旭化成ホームプロダクツ」は使用済みフリーザーバッグ「ジップロック」のリサイクル素材を使うなど、各社の個性が光る。
記者会見では、「Nature Innovation Group」丸川照司代表が、「コンビニなどで傘を購入すれば平均で約700円ほどかかりますが、レンタルなら費用は約4分の1。また強風に耐えやすいグラスファイバー製の壊れずらい傘なので、雨の日にも濡れずに移動できることで、ハッピーになっていただけたら」と呼びかけた。
「アイカサ」オリジナル傘の設置は、大阪・梅田駅周辺の商業施設などに「旭化成ホームプロダクツ」1000本、「阪急電鉄」87駅に300本、「阪神電気鉄道」既存39駅+新たな6駅に700本、「JR西日本」大阪環状線など19駅に300本ほか、「Osaka Metro」は既存14駅+新たな10駅に既存デザイン傘を設置予定(時期は各社により異なる)。
取材・文・写真/塩屋薫
(Lmaga.jp)
