紅葉の名所・京都「東福寺展」開催へ、高さ2mの「仏手」は一見の価値あり

紅葉の名所として知られる「大本山東福寺」(京都市東山区)の特別展『東福寺』の開催が決定。「京都国立博物館」(京都市東山区)で10月7日よりスタートする。

同寺は、京都を代表する禅宗寺院。鎌倉時代前期に摂政・関白を務めた九条道家が「鎌倉時代随一の国際人」と呼ばれる円爾(えんに)を迎え創建。奈良の「東大寺」や「興福寺」のような大寺院になるようにと、その一文字ずつをとって命名されたという。室町時代に再建され、禅宗三門としては現存最古の「三門」(国宝)を含む複数の建築群、膨大な美術工芸品や貴重な書物を保有している。

今回の展覧会は、同寺院の寺宝をまとめて紹介する初めての機会。争いが度々巻き起こった京都で戦火を免れた工芸品や特大の仏像などが一堂に会し、草創以降の歴史を辿りながら中国との交流を通じて禅宗文化が日本へ広まっていく様を包括的に紹介する。

第1章「東福寺の創建と円爾」第2章「聖一派の形成と展開」では、創建から京都を代表する寺院へいかにして発展したかを説明。さらに第3章「伝説の絵仏師・明兆」では同寺院所属の絵仏師・吉山明兆(きっさんみんちょう)にフォーカス。明兆の水墨画に極彩色を加えた独特の画風が楽しめる。

後半の第4章「禅宗文化と海外交流」では、中国仏教界との交流が盛んだった寺院の姿を紹介。最終章「巨大伽藍と仏教彫刻」では、展覧会初出品となる高さ2メートルの『仏手』を含む、同寺院の伽藍や仏像の壮大さが体感できる展示で締め括られる。3階建て全フロアをフルに使い、上層階から下へと降りるに従ってストーリー展開が進んでいく構成だ。

目玉となる展示は、明兆の代表作で重要文化財の『五百羅漢図(ごひゃくらかんず)』。釈迦の弟子500人の仏教逸話をもとに1幅に10人ずつが描かれた作品で、14年にわたる修理事業を経て初めて全幅が公開される。

また、像高3メートルを超える鎌倉時代の重要文化財『二天王立像』や同寺院の全景を描く最古の絵図、重要文化財『東福寺伽藍図』など、巨大なスケールが感じられる作品の数々にも注目したい。

同博物館 館長の松本伸之さんは、「東福寺は国宝や文化財だけでも100件以上のご寺宝をお持ちの類まれな寺院。壮大な伽藍と美しい紅葉はもちろん、当博物館では普段なかなかお目にかかれない貴重な仏像・仏画・工芸品などをご覧いただきたい。東福寺のすべて、そして中世の禅宗の集大成ともいえる充実した展覧会になると期待している」と語る。

期間は10月7日~12月3日(うち前期は11月5日まで)。「京都国立博物館」内の「平成知新館」にて、一般1800円ほか。

取材・文・写真/宮口佑香

(Lmaga.jp)

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