絵本は現在なんと40巻! 懐かしキャラ「しずくちゃん」は令和も健在
2000年代初頭に大流行した『たれぱんだ』や『お茶犬』、『ウサコレフレンズ』をはじめとした個性豊かなキャラクターたち。当時はレターセットやシールといった「ファンシー文具」が子どもの間で爆発的にヒット。現在では「懐かしのキャラクターたち」として思い出す人も多いだろう。
当然ながら、令和となった現代も子どもたちから愛されるキャラクターがいる。それが、文具・雑貨メーカー「クーリア」(本社:大阪市中央区)から生まれたキャラクター「しずくちゃん」だ。
多くのキャラクターと同じくファンシー雑貨からスタートしたが、2003年に岩崎書店から発売された絵本シリーズは、なんと40巻まで刊行(2023年4月時点)。平成から令和にかけ、子どもたちの心を掴み続ける「しずくちゃん」の人気の秘密を、作者・ぎぼりつこさんに話を訊いてみた。
■ コロナ禍など時事や流行を取り入れ、20年──そもそも「しずくの妖精」というキャラクター造形はどう生まれたのでしょうか?
キャラクターを作る課題があったのですが、何も思いつかなくて。思い切って、プランナーさんにどんなキャラが欲しいのか尋ねると「しずく型のキャラ」というリクエストをもらい、そこからデザインしました。
そこで行動範囲を広げるため「妖精」というキャラクターにし、羽を付けて自由に飛び回れるように。あとは友だちポジションのキャラクターが欲しかったので、化粧水の「うるおいちゃん」やミルクの「みるみるちゃん」など、いろいろな液体の仲間を作り「しずくの森」という世界で楽しく暮らしているという設定にしました。
──当初は文房具などで展開していた『しずくちゃん』が、絵本シリーズになったきっかけを教えてください。
当時、早川製菓さんからしずくちゃんパッケージのキャンディーを出してもらっていたんですが、それを岩崎書店の編集さんに見つけていただいて。そこから「しずくちゃん」を知ってもらい、絵本出版に繋がっています。元はファンシー文具のキャラクターとして生まれたので、正直なところ1年程度の展開で終わると思っていましたね。
──作者ですら当初はここまで続くと思っていなかったんですね。第1巻の刊行から20年が経ちましたが、初期と比べて変わった部分はありますか?
乱暴なセリフや表現にすると保護者さんからクレームが入るので、最近ではギャグやセリフを意識し、初期よりかなりマイルドにしています。
それから今の子どもたちに身近なアイテムであるスマホやネット、流行している文化としてYouTuberなども作品内に取り入れたりしています。例えば「きょうふのクルーズ船(39巻)」はゾンビパニック物ですが、これはコロナ禍に少し影響されてできました。このようなご時勢なので子どもたちにもリアルに感じられるのではないかと思います。
■ 「しずくちゃん」の擬人化はファンレターがきっかけ──時事ネタも取り入れているんですね! 読者さんのリアクションはどうでしょうか?
初期から現在まで、たくさんのお手紙をいただきます。時代は変わっても、読者さんはしずくちゃんをお友だちのように身近に感じて楽しんでいるようで、寄せられる声は基本的には変わらないと感じています。
ファンレターの内容からアイデアを得たりすることもありますね。例えば、読者さんから擬人化イラストがたくさん寄せられるようになったことから需要を感じ、しずくちゃんの擬人化を考えるようになりました。
また、キャラ同士の結婚式イラストがたくさん寄せられることにヒントを得て、結婚がテーマの「うるおいちゃん、けっこんする!?(39巻)」を描いてみたところ大好評でした。
──擬人化でいうと2019年から『にじいろフェアリーしずくちゃん』という新シリーズがはじまっていますよね。
その頃、小学校の英語教育が話題になっていたので、しずくちゃんの英語学習本みたいなものを作りたいなと思っていました。しずくちゃんのままだと絵が幼いので、人間型のキャラだと食いつきが良いのでは・・・と思い、まずは擬人化本を何冊か出してみようということに。
肝心の英語学習本は「売れないのではないか」という結論になりボツになったのですが、擬人化本はありがたいことに人気が出ました。
──子どもたちの興味や流行を取り入れているんですね。20年もシリーズが続いていますが、ネタ切れは無いのでしょうか?
ストーリーを考えてくださっているライターさんに何案かアイデアを出してもらい、編集さんと3人でミーティングをして内容を決めています。何が今、世間で流行っているか、読者に受けるのかを意識し、常にアンテナを張っています。苦労はありますが、良い反応をもらえるととてもうれしいですね。
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子ども向けでありながら、時代を反映し内容を常にアップデートし続けている絵本『しずくちゃん』。20年前、ファンシーグッズのしずくちゃんに夢中になっていた方は、大人も楽しめる『しずくちゃん』にふたたび触れてみては。
取材・文/つちだ四郎
(Lmaga.jp)
