京都の名門・茂山家「コロナ退散のような狂言は?」と依頼されど…
歌舞伎の殿堂「大阪松竹座」(大阪市中央区)で、13年ぶりの狂言会『大阪松竹座 狂言の会』を開催する京都の名門「大蔵流茂山家」。一門を代表して茂山千五郎、宗彦、千之丞の3人が年末、大阪松竹座で会見をおこなった。
現在放送中の連続テレビ小説『おちょやん』(NHK)に一門の茂山宗彦が出演するなど、伝統芸能という枠を超えて幅広く活躍する「大蔵流茂山家」。
今回上演するのは、大勢が出演するにぎやかな演目から、ベテランの円熟の芸を堪能できるものまで、バラエティに飛んだ演目をそろえている。
独身男のユーモラスな嫁探しを描く『釣針』、大名とその愛人の一筋縄ではいかない別れを見せる『墨塗』、ほらふきの彦市が大名や天狗などを次々にだましていく『彦市ばなし』の3本。
今回のラインアップを担当した千之丞は、「『コロナ退散のような狂言は?』とお話をいただいたのですが、そういうものは・・・福を授ける狂言ならありますが(笑)。時勢を反映というより、純粋に狂言を楽しんでもらえる演目を並べました」と狙いを語る。
自らは『釣針』の大名を演じるが、「一番に松竹座の舞台に出られたらなあと思って、一番最初に登場できるこの役を選びました」と、意外な理由で笑いをさそった。
また、『彦市ばなし』に出演する宗彦は、狂言では珍しい熊本弁の役だが、「うちのおじいさん(四世千作)はまったく無視して、ほぼ京都弁で押し切ってました(笑)。妻が(福岡と熊本の県境の)大牟田出身なので、方言指導をお願いしたいと思います」と、きっちり熊本弁で演じることを宣言。
その上で祖父たちの舞台を、「あれを追い越すような面白いものは、なかなかない。それを目指して、丁寧に演じたいです」とリスペクトを見せた。
『釣針』に、2人の息子とともに出演する千五郎は「3つか4つぐらいの狂言舞をお見せするとともに、茂山家の次世代も勢ぞろいするので、その華やかさを見ていただければ」とアピール。
そして、「こんなにお仕事がなくなったのは今年が初めてのことで、大阪での狂言会は、今年はほぼできなかった。1カ月、2カ月先のこともわからない状況ですが、この流れに無理せずに乗りながら、好転させていきたい」と、2021年に向けて前向きな気持ちを語った。
『大阪松竹座 狂言の会』は、2021年2月5日開催。チケットは1等8500円、2等4500円で発売中。
取材・文・写真/吉永美和子
(Lmaga.jp)
