サマーソニック大阪、2019年の注目アーティストはこれだ! 新鋭アクトを紹介
今年20周年となる都市型ロックフェス『サマーソニック』。いよいよ今週の金曜日(16日)からと開催が迫ってきたところで、大阪「舞洲ソニックパーク(舞洲スポーツアイランド)」(大阪市此花区)で3日間おこなわれる各日のヘッドライナーや大物をおさらいしつつ、注目しておきたい新鋭アクトを2組ずつピックアップして紹介していこう。
■オーストラリアの新鋭マルチプレイヤー「タッシュ・スルタナ」(16日・オーシャンステージ)
レッド・ホット・チリ・ペッパーズがヘッドライナーとして登場し、BABYMETALがマウンテンステージのトリを務める16日は、洋楽/邦楽ともにライブ・パフォーマンスの良さに定評がある実力派バンドが勢ぞろい。
そのなかでも、日本初ステージにして最大キャパのオーシャンステージに出演するタッシュ・スルタナは、オーストラリアのメルボルンを拠点に活動し、昨年に初のアルバム『フロー・ステイト』(日本盤は今年7月)をリリースしたばかりの要注目な23歳。ギターを中心に20種類以上の楽器を自らこなすマルチ・プレイヤーであり、ループ・ペダルを駆使しながら演奏を重ねてたった一人で繰り広げる驚異的なステージは、米国のコーチェラなどでも大きな賞賛を集めてきた。
■センスに満ちたアメリカの天才兄弟バンド「レモン・ツイッグス」(16日・マッシヴステージ)
そして、60~70年代のロックの黄金期からタイムスリップしてきて現代に降り立ったようなサウンドで、2016年のデビュー以降に高い評価を集めてきたレモン・ツイッグスも、この機会にライブを体感しておきたいところ。後期ビートルズ、70年代のトッド・ラングレンなどと地続きながら、単なる懐古趣味やリバイバル系とは明らかに何かが違うセンスに満ちた天才ダダリオ兄弟が繰り出す音は、クイーンの映画が大ヒットしたりヨット・ロック(注1)が復興する今とも確実にシンクロしている。
(注1:米国のテレビ番組をきっかけに再評価が進んだ、商業的だが洒脱なアレンジなどが効いた70~80年代ロック)
■デビュー作が3億回再生超、無国籍ダンスポップ「ジェイン」(17日・ソニックステージ)
ザ・チェインスモーカーズやディスクロージャーなどのダンサブルな大物アクトが充実した17日は、フランスの新興人気フェスである『Les Eurockeennes』とサマソニのコラボとして出演する無国籍ダンス・ポップな才媛・ジェイン(Jain)にまず注目。中東のドバイ、アブダビ、アフリカのコンゴなどの世界各地を転々としながら育ち、中毒性の高いメロディとシュールなPVで、2016年発表のデビュー作『ザナカ』がストリーミング総再生数3億回を超えるヒットを記録した彼女は、フランス発のグローバル・ポップの新たな可能性を感じさせる。
■UKヒップホップの筆頭格、グライム系ラッパー「オクタヴィアン」(17日・マウンテンステージ)
また、ニューカマー勢で是非ともチェックしておきたいのは、英国のBBCが発表した「Sound of 2019」でも第1位に選出された、グライム系ラッパーのオクタヴィアン。すでにムラ・マサやディプロらとのコラボ曲も数多く発表し、ルイ・ヴィトンのコレクションにモデルとして起用されるなどで多方面から注目を集めている彼は、スケプタらに続くUKヒップホップの筆頭格として、今後さらに幅広い注目を集める存在となること間違いなし。
■次世代ポップ・クイーンとしての本領を発揮「リタ・オラ」(18日・マウンテンステージ)
そして、B’zが日本人アーティストとして初のヘッドライナーを務める最終日の18日は、2018年はカーディ・B、ビービー・レクサ、チャーリーXCXを迎えて歌詞の内容で物議を醸した『ガールズ』や故アヴィーチーとのコラボ曲『ロンリー・トゥゲザー』などが話題を集め、約6年ぶりとなったニューアルバム『フェニックス』を発表してシンガーとしての健在ぶりを示したリタ・オラも登場。最近では女優としての活動も盛んな彼女だが、次世代ポップ・クイーンとしての本領を発揮した華やかなステージに改めて期待したい。
■「NEOかわいい」で注目集めるガールズバンド「CHAI」(18日・マッシヴステージ)
また、日本勢では、すでに米国のSXSWへの連続出演やスーパーオーガニズムの英国ツアーのサポートアクトなどで国境を越えて活躍し、「NEOかわいい」サウンドで世界的な注目を高めるガールズ・バンドのCHAIも登場。ポスト・パンクやシンセ・ポップなどの要素を巧みに消化し、少年ナイフなどに連なるジャパニーズ・オルタナ・ガールズの系譜を今に継承する彼女たちのステージは、洋楽/邦楽の棲み分けを痛快に無効化してくれるだろう。
文/吉本秀純
(Lmaga.jp)