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及川光博「ツアーは美意識・センスの集大成、世界創造です」

「ライブの完成型を楽しめるのはお客さまだけ」と及川光博(写真/渡邉一生)
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1996年にシングル『モラリティー』でメジャーデビューして以降、その煌びやかなルックスと個性的なキャラクターで人気の、ミッチーこと及川光博。ドラマ『相棒』シリーズや映画『七つの会議』など、役者としても活躍しているが、なにより彼の魅力は、毎年おこなわれている、徹底的にショーアップされたライブだ。今年も3月からワンマンショーツアー『PURPLE DIAMOND』をスタートさせた及川に話を訊いた。

写真/渡邉一生


「ライブのイメージをゼロから実現できる空間」(及川光博)

──これまではアルバムを携えてのツアーが多かったですが、今回のワンマンショーツアー『PURPLE DIAMOND』はリリースを伴わないツアーですね。

僕のキャリアのなかでは珍しいタイプのツアーですね。それだけに、新旧のナンバーを織り混ぜて、曲調も幅広く、楽しんでいただけたらなと。やっぱり20年以上前の楽曲をやると、客席からどよめきやため息がもれたりするんですよ。そういう反応もうれしいですね。当時の未熟な僕が作った楽曲ですけども、歌詞とメロディのクオリティには納得しているので。それを、現在の僕が歌うという楽しみもありますね。

──なつかしのナンバーを、今歌う楽しみがあると。

まず、革命的にレコーディング作業が違う。当時はマルチテープ(複数のトラックを録音できる)で、チャンネル数も限られているし、いちいち時間がかかったんです。プロ・ツールス(オーディオ編集のソフトウェア)が一般化する前は、レコーディングに時短なんて無かったわけですよ。手間ひまをかけて作っていた当時の青臭い思いも、現在の僕の歌にも籠もっているんじゃないかなって。

──プロ・ツールスによってエディットや修正が可能になって、格段にレコーディングが便利になったわけですが、昔のアナログなスタイルの方がややもすれば、いい緊張感がありましたよね。

そうなんだよね。1曲トラックダウンするのに徹夜は当たり前、みたいな時代でしたから。当時、僕の場合はボーカル用に残されているのが、3チャンネルくらいしかなくて。そのなかで、どうベストを尽くすか試行錯誤して。現在はもっと楽に作業ができる時代ですけど、その頃に経験した努力や悔しさというのは、僕にはとてもプラスになっている。今は機材的に何百回でも録り直しができるんだけど、いまだに僕のボーカルテイクは3チャンネルです。

──3チャンネルという制限があるからこそ、いい歌が歌えるという。

たとえば、プロ・ツールスみたいなソフトを使えばいくらでもデータの書き換えが可能で、下手な歌でも上手になったりする。その究極がボーカロイドでしたっけ? もはや人間の声じゃないんですけど、僕はそれに抵抗感があるから。ちょっと古くさい表現になってしまうけど、魂を込めるしかない。テクニックを聴いて欲しい、わけじゃないから。時代にモノ申すわけじゃないけど、便利過ぎたところで、自分の実になるのかどうかっていうのはあるから。

──その姿勢は、当然ライブにも通じてきますか?

もちろん。経験値って、経験しないと高まらない。上がらないし。だって、経験値って言うくらいだから(笑)。場数というのは大きいと思います。お客さまの前に立ったら、一期一会。そのためにも、いろんなケースに対応できる店主でありたいというか、その経験値を持っていたいかなぁ。

──難しいところですよね。場数を踏まないと対応力は効かないし、その一方で、慣れというのを排除しなければ、一期一会を楽しめないわけですから。

1000人、2000人という今夜のお客さまが、もう1回集まるということは2度と無いですからね。しっかり掴んでいきますよ。登場シーンからしっかり客席の、今夜限りのムードを把握する。真摯に向き合うというのは、そういうことだと思いますね。

──今では役者業やそのほかの仕事も多忙ですが、そんななかでも、ことさらライブにはこだわられてきたと思うんです。及川さんのなかで、ライブというものはどういう位置づけになるんですか?

う~ん、世界創造ですかね(笑)。要は自分のイメージをゼロから実現できる空間。もちろん、コンサート会場自体に手は加えられないですけど、僕が学んできたことや、影響を受けたあらゆる芸術、そして、リアルタイムのメッセージ。さらに、美意識、センスというものの集大成ですよね。

──その世界創造において、今回の『PURPLE DIAMOND』はどこから?

閃きとしか言いようがないんですけど、「紫」をテーマカラーにしようというのが先にありました。衣裳のコンセプトは社交ダンスパーティー。社交ダンスはご存じの通り、ラテンもあれば、タンゴもある。女子メンバーの衣裳からどんどんイメージが出てきて。紫はもともと好きな色なんですが、やはりプリンスのイメージカラーでもあるし、僕自身のモチベーションも上がるという。まあ、色っぽいショーにしようというところからのスタートですよね。



「色とセットと衣裳が同時進行で浮かんでくる」(及川光博)

──タイトルを見たとき、及川さんのフェイバリットであるプリンスが頭に浮かびました。

そうだよね。(プリンス&ザ・ニュー・パワー・ジェネレーションの1991年のアルバム)『ダイアモンズ・アンド・パールズ』のダイアモンドも入ってるしね。新曲があってのツアー、というよりも、今までもこういうショーにしたいから、こういうアルバムを作ろうという、いわば同時進行なんですよね。リンクするというか。もともとツアーを、新曲発表会ってとらえてないんですよ。むしろ、新しいショーを作るという。そのためのテーマソングが閃いて、サウンドトラックを作る感覚でアルバムを制作してきたという。

──ここ何年か、ですか?

いやいや、いつ頃からだろう。ずっとそうでしたね。アルバムのコンセプトはすなわち、ショーのコンセプトでもあったし、そこでは色とセットと衣裳が同時進行で浮かんでくるんですよ、脳内で。で、そのビジョンがより明確に、より具体的に描けたとき、気持ちいいって思うの。あぁ、美しいなぁって。そういった意味では、逆算するのが好きなんでしょうね。次回のツアーが決まって自宅でギターをもって曲を作るにあたり、どんなショーにしたいのかって考えてますから。

──及川さんの場合は、ショーも含めてすべて、自らプロデュースしてます。毎年、毎回コンセプトを生み出すのは、大変な作業ではないですか?

大変です(笑)。でも、お客さまを退屈させないというよりも、自分自身で課題を設定して、そのなかでなにを生み出すことができるのかという楽しみがあります。退屈したくないのは、僕自身なんでしょう、きっと。だから、毎年毎年、別のことをやりたがるし。そこに興味をもってくれたファンの方々が、来年、再来年、ミッチーは次になにをするのかってワクワクする楽しみを見出してくれたら、よりエンタテインメント性が高まるかなって。

──なるほど。

とは言え、プロデュースするのは僕でありながら、最後にはめるパズルのピースが僕自身なんだよね。だから全体像は見えてるんだけど、自分がそこにハマったときの、すなわち完成型を楽しめるのはお客さまだけ。僕もそれが見たいのに(笑)。これがなんとももどかしい。ホント、自分のライブを客席から見てみたい。

──選曲的にはどんな感じになりますか、ネタバレになるので詳細はさておき、ですが。

2ndアルバムの楽曲もあれば、ここ最近のアルバムからもチョイスしていますし。まあ、さすがに去年のツアーの中心ナンバーだったものは外してるかな。ロックチューンは今のところ、ないですね。華やかでセクシーで、オトナっぽいステージに合ったものを。なぜか「オトナっぽさ」を強調したがっているんですよ。

──あ、それは及川さん発信ではなく?

いや、僕発信(笑)。僕が「オトナっぽくいこう」って。2018年の『BEAT&ROSES』ツアーが、「大人げなく暴れよう」というコンセプトだったので、今回は自信とゆとりをもって、オトナの色気を出していこうとメンバーにも言い聞かせているんですけど、いざお客さまの前に立ったら、やっぱりはしゃいじゃう(笑)。

──大阪では、6月22日・23日に「オリックス劇場」(大阪市西区)で2デイズが予定されています。

セットリストを含めて、まったく印象の違う2日間になるんじゃないかと予想しています。そして、ただでさえ僕はトークが長いのに、関西のベイベーたちとしゃべってるともっと長くなるので、あまり乗せすぎないように(笑)。ベイベーたち、笑顔で会いまショー☆。


(エルマガジン)

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