芸術的霊感をえた時の初期衝動を作品に、尼崎で飯川雄大の個展

神戸を拠点に活動しているアーティスト、飯川雄大の個展が「あまらぶアートラボ A-Lab」(兵庫県尼崎市)で、2月3日までおこなわれている。

巨大な黄色と茶色の立方体が会場入口をふさぐ。実はこの立方体を含む会場全体が作品となっており、観客は立方体を押したり回転させたりしながら内部に入る。すると次々にカラフルな立方体が現れ、やはりそれらも観客が動かして空間を変容させる仕組みになっている。全身を使って作品世界に没入する感覚。それこそが本展のキモと言えるだろう。

展覧会名にある「デコレータークラブ」とは実在するカニの一種で、海中のさまざまな素材(ゴミも含む)で体を装飾している。飯川はそのカニを知った時に衝撃を受け、同時に、自分が作品で伝えたいのはビジュアライズされた色や形ではなく、芸術的霊感を得た時の初期衝動そのものだということに気付いたのだ。彼の作品には立体、写真、映像などがあり、一見するとバラバラな印象を受ける。でも「衝動」「衝撃」を軸に作 品を見直すと、その一貫性がはっきりする。

会場にはカラフルで巨大な立方体以外にもいくつかの作品がある。なかでも会場の片隅に点在するカバンは、あまりにもさりげないので作品と思わない人も多いかもしれない。ぜひ、このカバンを持ち上げてみてほしい。その時、彼が訴えたいものの正体がはっきりと分かる。

取材・文/小吹隆文(美術ライター)

(Lmaga.jp)

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