京都で民藝を代表する濱田庄司の世界

大正から昭和にかけて活躍した陶芸家・濱田庄司(1894~1978)の没後40年を記念した回顧展が、12月16日から「アサヒビール大山崎山荘美術館」(京都府大山崎町)で始まります。

濱田は神奈川県出身で、1913年に東京高等工業学校(現・東京工業大学)窯業科に入学。板谷波山に師事して陶芸の基本を学びました。1916年には京都市立陶芸試験場に入所し、陶芸家の河井寛次郎と出会っています。また同時期に、民藝運動の創始者である柳宗悦や、陶芸家の富本健吉、バーナードリーチとも知遇を得ました。1920年には帰国するリーチと共に英国に渡り、ロンドンでの個展を成功させています。1924年に帰国すると沖縄に長期滞在して制作。1930年に益子焼の産地である栃木県益子町に移り、その後はずっと同地で制作を行いました。

濱田は民藝運動の創始者の一人であり、その作風は生活工芸に徹しています。つまり、華美に走らず、重厚さと力強さを併せ持つ日用品を制作したのです。また英国で学んだスリップウェア(クリーム状の化粧土をスポイトなどに仕込み、容器から流し出して模様を描く技法)を多用したことでも知られています。

本展では、濱田と民藝運動の支援者だったアサヒビール初代社長・山本爲三郎のコレクション(現在はアサヒビール大山崎山荘美術館が所蔵)を中心に、初期から晩年までの約100作品で濱田庄司の陶歴をたどります。なお、会期中に料理研究家・土井善晴氏の講演会(要事前予約)や、クリスマスウィークのコンサートを予定。カフェではリーガロイヤルホテル京都が本展のために考案した2種類のスリップウェア風ケーキが用意されるなど、関連企画も充実しています。

文/小吹隆文(美術ライター)

(Lmaga.jp)

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