地獄絵ワンダーランド、京都で開催
仏教における6つの死後世界のうち、最悪とされる地獄をテーマにした展覧会『地獄絵ワンダーランド』が、9月23日より「龍谷ミュージアム」(京都市下京区)でおこなわれます。
生前に悪行を働いた者は、閻魔王をはじめとする十王の裁きを受けて地獄に堕ち、過酷な責め苦を受けるといいます。地獄堕ちを恐れ、人々は阿弥陀如来のいる極楽浄土へ迎えられることを強く願いました。我々が抱く来世のイメージは、平安時代の僧・恵心僧都源信が『往生要集』を著したことを契機に形成され、中世から近世にかけて、盛んに地獄絵や六道絵が描かれました。また、地獄を恐れ極楽浄土を希求する精神は、現代の我々にもしっかりと受け継がれています。
本展では、日本の中世から現代にかけて描かれてきた地獄絵や地獄にまつわる多彩な作品を紹介します。それらを見ていると、中世にはひたすら怖いものとして描かれていた地獄の情景が、近世になると少しずつユーモアを交えた表現に変化していることが窺えます。日本人の死生観・来世観の変遷を、個性豊かな美術品を通してお楽しみください。
文/小吹隆文(美術ライター)
(Lmaga.jp)