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ISPSハンダマッチプレー クロンパ悲願の日本ツアー初V

 日本ツアー初優勝したタンヤゴーン・クロンパ(写真左)とISPS半田晴久会長(同右)
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 国際スポーツ振興協会(ISPS)が主催の男子ゴルフツアー「ISPSハンダマッチプレー選手権」が7月26、27日(1、2回戦)と9月5~9日(3回戦~優勝決定戦)、埼玉県鳩山町の鳩山カントリークラブで行われ、日本ツアー参戦5年目のタンヤゴーン・クロンパ(28)=タイ=が決勝で今平周吾(25)を2&1で下し優勝した。昨年、男子国内ツアーでは14年ぶりに復活したマッチプレー。今年は賞金も2億3000万円、優勝賞金も5200万円とともに国内最高金額と大きくスケールアップ。出場104人による決勝まで全118マッチでは、続々と熱戦が繰り広げられ、半田晴久会長は「来年もマッチプレーのともしびは絶やさない」としマッチプレー形式の継続に加え新たな大会新設を明かした。

 ISPSの大会ではおなじみとなった優勝者のグリーンジャケットに代わるグリーン羽織。そして優勝カップに代わる優勝かぶと。頂点に立ったクロンパは、表彰式で半田晴久会長に贈られ、はにかみながら着用。見事にきまった侍スタイルに、ネイマール似の笑顔をはじけさせた。

 タイから日本ツアー参戦5年目にして初優勝。これまで2位はあったものの目立った活躍はなかった。今大会も当然ノーシード。7月の1回戦から必死に勝ち上がり、決勝で日本の賞金ランク1位の今平周吾を倒し悲願を達成した。

 「ISPSの試合に出場させてもらい優勝できて本当にうれしい。このようなすばらしい大会を開催していただきありがとうございました」。そう感謝した若きヒーローを、半田会長は「“ケロンパ”みたいななじみやすい名前」とうれしそうに見守った。

 「世界で戦える、本当に強い日本のゴルファーを育てたい」との思いから昨年、国内男子ツアーで14年ぶりにマッチプレーを復活させた半田会長。「この試合形式だからこその攻撃的なプレーを経験することでメンタル、技術、戦略、戦術など本当の実力アップできる」というのがその理由だが、今大会はそんな思いに応えるかのような熱戦が、連日繰り広げられた。

 最終日。優勝決定戦は序盤からリードしたクロンパを、パットが不調でなかなか波に乗れなかった今平が、16番でバーディーを取るなど必死に食い下がった。3位決定戦も、池田勇太とタイのワナスリチャンが一進一退の激しい戦いを繰り広げた。予選道中でも今平VS池田の“新旧賞金王対決”や木下裕太と池田勇太の“ユウタ対決”など、激しく実力をぶつけ合う緊迫した戦いが多くみられた。

 半田氏も「本当にどっちが勝ってもいい熱戦でした」と納得の戦い。熱戦の立役者には惜しくも4位となった池田を挙げ「ゴルフ界を考えれば、スター選手が勝ち続け、若手が立ち向かうのが盛り上がる。最終日まで池田勇太選手が残って、すばらしいゴルフで盛り上げてくれた」とレジェンドをたたえた。

 さらに会長は優勝決定戦を戦った2人の身長に着目。「166センチのクロンパと165センチの今平選手。日本の選手が海外に進出し結果が出せない理由を、『体格の差』と挙げるケースが多い。でもそうではない。技術を磨かないといけない」と、小柄な2人が残した結果をもとに、ゴルフ界の課題も力説した。

 そんな大成功に終わった大会だが、来年はまた大きく様変わりする。

 半田会長は「来年もマッチプレーのともしびは絶やさない」と、マッチプレーの大会は継続するが、さらに「7月下旬から8月上旬にかけて『ISPS HANDA 東京オープン』をやる」とレギュラーツアーの主催試合を1試合増やすと明かした。今年は賞金総額2億3000万円、優勝賞金も5200万円。ともに国内最高額だったが、来年は総額2億3000万円のうち、マッチプレーを賞金総額1億円に変更し残りの1億3000万円を、この新たな主催試合の運営資金に回す。

 新規の主催試合は、一般人の参加型にこだわり半田会長らしい驚きのプランを続々と用意する。4日間は入場料無料。毎日先着1000人にお弁当を用意。「縁日のように家族で楽しくゴルフ観戦できるようにする」と子供連れにはお菓子やおもちゃもプレゼント。また最終日翌日の月曜日には「ボランティアの方にありがとうの気持ちを示す」と、ボランティアに参加した方から抽選で140名ほどをトーナメント設定のコースでのプレーに無料招待する。

 いずれも「ISPSは社団法人。社会効果、ゴルフ界に何が有益かを考える」とのスタンスから生まれた壮大なプラン。「『HONDA』は『パワー・オブ・ドリーム』。『HANDA』は『パワー・オブ・スポーツ』。スポーツの力で社会の役に立つ」と半田会長。2020年の東京五輪でゴルフは正式種目となった。「男子が盛り上がらないと日本のゴルフが盛り上がらない」と、まずは自らその役割を務める。