「選抜高校野球・２回戦、佐野日大５‐４智弁学園」（２８日、甲子園）

　２回戦３試合が行われ、ともにプロ注目の最速１４５キロ左腕、佐野日大・田嶋大樹投手（３年）と１回戦で２本塁打の智弁学園・岡本和真内野手（３年）の対決は、佐野日大が５‐４で延長戦を制し、初のベスト８入りを果たした。

　サヨナラ勝ちした左腕に、笑顔はなかった。「自分のエラーで点が入ったし、納得のいく投球じゃない」。口を突くのは不満。それでも、ドラフト候補対決を制したのは佐野日大・田嶋だった。

　智弁学園・岡本を、徹底して内角スライダーで攻めた。四回無死三塁のピンチは、スライダーで空振り三振。六回１死三塁ではスライダーを５球続けた後、内角直球で見逃し三振に仕留めた。八回に遊撃のグラブをはじく安打を許したが、４打数１安打１死球と、調子に乗せなかった。

　楽しみにしていた対決。初戦で２本塁打した岡本の映像を見て、とにかく低めに投球練習をし続けた成果が出た。「すごい打者なので、より集中して投げた。自信にはなる」。相手が手ごわいほどギアが上がるのも、田嶋のすごみだ。

　六回には、自らの失策で失点。八回にも投前への打球が手につかず、５連打で一度は同点とされた。初戦の５安打完封から一転して「今までで一番苦しい試合」。だが、それを乗り越えたことで、エースの価値を証明した。