常総・飯田、完封目前の“異変”に泣く
「全国高校野球・準々決勝、前橋育英3‐2常総学院」(19日、甲子園)
4強入りを目前にした2‐0の九回。常総学院のエースにアクシデントが起こった。飯田晴海投手(3年)がこの回に備えた投球練習中、右太もも裏をつり、ベンチへと下がった。球場ドクターからは脚の症状に加え、熱中症の疑いがあると診断を受けたが、それでも投げ抜くと決めた右腕は引き下がらない。
交代を考えた佐々木力監督(47)に「行かせてください」と直訴。再びマウンドへ上がったが、この日までの4試合、計35回を一人で投げ抜いてきた体は限界にきていた。先頭打者に2球を投げて再び異変を訴え、無念の途中降板。仲間に両脇を抱えられ、険しい表情でベンチへと下がった。
エースの離脱に流れは前橋育英に傾いた。急きょ登板の金子雄太投手(2年)は2死からの二ゴロ失策後、二、三塁から同点適時二塁打を浴び、十回に力尽きた。あとアウト一つで4強を逃した佐々木監督は「飯田でここまで来たチーム。危ないなと思った」と、負の予感の的中に表情を曇らせた。
試合後は医務室で治療を受け、チームとは別に宿舎に戻った飯田。大会本部を通じ「チームを勝たせられなくて申し訳ない」と無念のコメント。最後の夏を終えた。