日大三、劇的逆転で2年連続聖地切符

 「高校野球西東京大会・決勝、日大三2‐1佼成学園」(28日、神宮)

 西東京では、昨夏全国王者の日大三が九回2死からの劇的な逆転勝ちで佼成学園を下し、2年連続15度目の優勝を飾った。埼玉では、浦和学院が完封勝ちで春夏連続の甲子園出場を決めた。準決勝が行われた神奈川は桐光学園と桐蔭学園が勝ち上がり、29日の決勝に進んだ。

 苦しみ抜いた主将のひと振りが、土壇場の王者を救った。1点を追う九回2死一、二塁からの初球。日大三の3番・金子凌也内野手(3年)が迷わずフルスイングした打球が、右翼手の頭を越えた。起死回生の逆転適時二塁打。閉ざされかけた聖地への扉をこじ開け、夏2連覇への挑戦権をつかみ取った。

 「迷惑をかけていたので絶対、自分が何とかしてやろうと思っていました」。準決勝まで16打数3安打。この日も四回に守備妨害を犯していた。それでも、仲間の信頼は揺らがなかった。打席に入る前、エース斉藤から「お前が一番練習してきた。ここで打つためにやってきたんだろ!」とゲキを飛ばされた。八回までチームは3安打。最後に大仕事をやってのけ、塁上で涙があふれた。

 重圧と闘い続けた1年だった。昨夏甲子園Vから、昨秋は都大会ブロック予選、今春も初戦敗退。秋は自室で泣き、春は球場で泣いた。6月初めからは不振に陥り、今大会中ももがき苦しんだ。

 準々決勝の日野戦後、小倉全由監督(55)と2人でファミレスへ。パフェを食べながら「楽にやれよ。準決勝から打ちだしたヤツもいるんだ」と励まされた。毎朝5時半から打撃練習する努力は誰もが知っている。指揮官は「最後は『金子、何とかしてくれ』と。監督を長くやっているけど、今日みたいなゲームは初めて」と声を詰まらせた。

 昨夏もベンチ入りした金子、斉藤、森は「絶対戻ってくる」と甲子園の土を持ち帰らなかった。誓いを果たした今、もう重圧はない。「今年も『監督を男にする』という気持ちが強い」。金子は前主将の畔上翔(法大)と同じセリフを口にした。全員で返す深紅の大優勝旗を、必ずもう一度手にしてみせる。

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