【ボート】万能ペラ“ヒラタオリジナル”平田忠則、好調の秘密
「レース記者コラム 仕事・賭け事・独り言」
連続で優勝戦に乗り続けること実に9節。そのうち4度の優勝、2着が3回、3着1回とただ今、絶好調モードなのが福岡支部のボートレーサー、平田忠則(49)=80期・A1=である。2日に行われた直近のまるがめ・一般戦でも優勝戦は2号艇で2着と存在感を見せつけた。その好調の背景には平田が生み出したオリジナルのプロペラ調整があった。
3節前の9月、尼崎でのこと。結果から言うと平田は予選トップからの王道Vで今年5回目の優勝を果たした。取材ノートには「出足は鋭く、回った後の押し感は力強く」と書き残してある。平田自身は前検時、「最近はペラが当たっていましてね。ずっとこの形で来ているんですけど、バイオの淡水は初めてなので通用するのか、楽しみなんです」とそう語っていた。
ここで“ヒラタオリジナル”のペラにふつふつと興味が湧いた。海水、淡水の違い、新たに導入されたバイオ燃料と、各レース場で条件は違ってくるが、このペラ調整で結果を出し続けているのだから記者としては取材しないわけにはいかない。1節間、ずっと話を聞きに行った。
「叩くのは時間がかかるんですよ。特殊な形なので。叩く時間がなかったので片面だけやったんですけど、足はいいですね」と話していたが、こちらは片面だけで結果は出るものなのかと疑心暗鬼。しかし尼崎でもきっちりと“優勝”という結果を残していった。
そして次節のこと。この平田が使用した優勝機を手にした酒井陽祐(愛知)にも話を聞いた。「ペラはひねってあって立てている、今まで見たことのない形です。すぐさまゲージを取りました。それまで優出もなかったエンジンなのに、いきなり平田さんの時に成績が上がっていたので何でかなとペラをチェックしたら、見たことのない形で、しかも片面だけ。これは自分では叩けないと思ってそのまま乗ったら出足や回り足が力強いし、乗りやすかった」と教えてくれた。
平田は尼崎から次節の下関でも優勝した。当時、一緒だった藤井公人(福岡)がたまたま尼崎に来たので平田の話題を振ると、「ペラを見せてもらいましたけど、僕には叩けない形でした。でも、ずっと結果を出しているのですごいですよね」と感心しきりだった。
以前、イン屋の西田靖(東京)の後に乗った某選手もそのペラの形に目を丸くしていた。「まるでイナバウアーのようにそっている」とピット離れや出足を求めた形だが、他でもチルト3度で伸びを求めてひねり上げたり、片面だけあえて叩く選手など、ペラには個性があふれている。
それだけ選手にとってペラは重要なのだが、どんなレース場でも通用するペラなんて聞いたことがない。季節、温度に湿度に気圧、気象と色々な条件にマッチさせて細やかな調整を重ねていくもの。それがどんな場でも、条件でも、結果を出している平田の“万能ペラ”は注目されて当然だろう。
今年の優勝は6回を数え、グレードレースでの優勝や優勝回数で出場が決まる来年のSG・ボートレースクラシックにも十分手が届く状況となっている。今後の連続優出記録も気になるが、もっと大きな舞台での“ヒラタオリジナル”の活躍を期待している。(関西ボートレース担当・中村博格)
