【スプリンターズS】タワーオブロンドンG1初V サマー王者から真の王者へ

 「スプリンターズS・G1」(29日、中山)

 直線一気の豪脚で2番人気タワーオブロンドンが完勝。今夏にスプリント路線へ転じてから4戦目でG1初制覇を果たした。2着には逃げた3番人気のモズスーパーフレア。1番人気のダノンスマッシュは直線追い込んだものの、3着が精いっぱいだった。なお、勝ち馬にはブリーダーズCターフスプリント・米G1(11月2日・サンタアニタ)の優先出走権が与えられる。

 ルメールの右手が2度3度、中山の秋空に向かって高々と挙がった。タワーオブロンドンが直線外から豪快な末脚を繰り出し、スプリント王の勲章を射止めた。

 懸念されていたスタートも決まり、序盤は中団へ。スムーズな追走から、進路を徐々に外へと切り替える。馬なりのまま先団に取りつき、直線を向くとエンジンに火がついた。「中山はちょっと心配だったけど、ラスト200メートルでトップスピードになったし、勝つ自信はあった」とルメール。内ラチ沿いで逃げ粘るモズスーパーフレアをゴール手前でパス。着差以上の完勝劇でスタンドのファンを喜ばせた。

 サマースプリント王によるVは、06年のシリーズ創設以来初めてだ。3走前にスプリント路線へ転身。当初は3、2着と結果が出なかったが、札幌から中1週で臨んだセントウルSを驚異のレコードでV。新馬戦からコンビを組むルメールは、当時から「この馬はスプリント!」と陣営に進言していただけに、この勝利は格別だ。次週はフィエールマンとともに凱旋門賞に挑戦する。「勝ったから飛行機ではよく眠れると思う。凱旋門賞も楽しみだね」と笑顔で成田空港へ向かった。

 97年タイキシャトル以来の勝利となった藤沢和師には、特別な思いがこみ上げた。管理した祖母シンコウエルメスは、デビュー戦後の調教で骨折。命までも危ぶまれたが、トレーナーをはじめ、関係者の懸命な努力で繁殖馬としての道をひらいた。その2代目に皐月賞馬ディーマジェスティを、そしてこの日、スプリント王者を誕生させた。「25年前にアイルランドから連れてきた馬。こんなすばらしい子を残してくれた。続けてきて良かった」と感慨深げに語った。

 今後については未定だが、「彼のリミットは分からない。まだまだ良くなる」と主戦が言えば、トレーナーも「もう少し良くなる気がする」とうなずく。しっかりとした基盤を築いた今、あとは一直線に“史上最強”のスプリント王へ駆け上がるだけだ。

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