【フェアリーS】中舘師が重賞“初V”

 「フェアリーS・G3」(11日、中山)

 調教師としての初タイトルも“逃げ切り”で獲得した。騎手時代に逃げの名手としてJRA通算1823勝を挙げた中舘英二調教師(50)=美浦=が、3番人気ビービーバーレルで重賞を初V。石橋脩を背に好スタートからハナを奪うと、そのまま先頭を譲ることなく鮮やかに逃走劇を演じた。2着には10番人気ダイワドレッサーが奮闘。1番人気リセエンヌは7着に敗れた。

 完勝だった。ハナを奪ったビービーバーレルの脚色は、直線に入っても衰えない。そのまま後続の追撃を完封し、重賞初制覇を鮮やかな逃走劇で決めた。

 「“逃げてもいい”と先生(中舘師)からは言われていました。いいリズムで最初のコーナーを回れて、そのリズムを切らさずに直線に向けました」と石橋脩はしてやったりの表情。14番人気ビートブラックで3連単145万馬券を演出した12年春の天皇賞以来、約3年9カ月ぶりの重賞Vゴールを喜んだ。

 一方、中舘師は昨年の開業以来、のべ3頭目の重賞挑戦で初のタイトル獲得。騎手時代には度胸満点&玄人受けする“逃げ”でファンを魅了したが、トレーナーに立場を変えて臨んでいた今回は、完全に逃げ切り体勢だった最後の直線でドキドキだったという。

 「後ろから何かが来る気がして。直線で、周り(にいた調教師)からは“もう大丈夫、もう大丈夫”と言われたけど、この立場になって競馬を見るとそう思えないものだね」とホッとした表情。「頑張ってくれた。強かった」とうなずいた。

 次走は未定だが、もちろん目標は桜花賞(4月10日・阪神)だ。「まだ挑戦者の立場だが、自在に立ち回れる器用さがあるので」と胸を張る。かつての逃げの名手が、牝馬クラシック戦線に自身と同様の“個性派”を送り込む。

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