園田監督続投 全柔連が大甘裁定

 全日本柔道連盟(全柔連)は30日、ロンドン五輪女子代表を含む15人が園田隆二監督(39)と男性コーチから暴力やパワーハラスメントを受けたと告発した問題で、東京都文京区の講道館で会見した。全柔連は、すでに園田監督らから聞き取り調査をし、今月中旬にコーチを含めて戒告処分にしたと発表。上村春樹会長(61)は、新たな事実が確認された場合を除き、同監督の続投を明言した。

 ずさんな体質を浮き彫りにした大甘裁定だった。2度の会見で、全柔連幹部は「暴力はあってはならない」「(更迭などの)さらなる処分は科さない」と口をそろえた。トップ選手らによる異例の集団告発。園田監督について、全柔連が出した結論は戒告処分と続投だった。

 小野沢専務理事によれば、問題の第一報は昨年9月下旬で「園田監督が暴力行為をしているという情報が入った」というものだった。報告した1人の女子選手と監督双方への聞き取り調査を終え、事実を確認した結果、下した処分は「始末書の提出と厳重注意」。全柔連は11月28日に監督が当該選手へ直接謝罪したことで「収束したと考えた」という。選手の名前について、上村会長は「選手の将来を守るため」との理由で非公表で処理した。

 謝罪直後の12月4日、女子選手らは日本オリンピック委員会(JOC)へ集団告発した。文書には、園田監督らコーチ陣の退陣要求を意図する記述もあったという。11月11日付の告発文書だったことからも、処分内容に納得していなかった可能性もある。この件への調査も「JOCが名前を伏せたため」と、指導者のみの聞き取り調査で、園田監督以下、五輪時のスタッフを戒告処分としたのみ。処分の事実も公表を差し控えた。

 上村会長は「真の解決はみていない」と認識を示しつつ、真相究明のための追加調査については「(15人の)名前が分からないので…」と、JOCへの名前確認には及び腰。今後、園田監督らへのさらなる処罰の可能性については「選手から要望があれば、名前が(外部に)出ないようにヒアリングし、このままではダメというのであれば(更迭なども)考える」としたものの、選手が全柔連に名乗り出るには相当な勇気が必要だ。

 監督やコーチ陣の入れ替えもないまま、選手との信頼関係は築かれるのか。モヤモヤを抱えたまま、代表チームは現体制でグランドスラム・パリ(2月9日開幕、フランス)へ出発する。

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