35年走った都電荒川線の電車が「木の車両」に大変身!始まりはデザイナーの長年の夢だった【東京都交通局が解説】

会社員のAさんが都電荒川線のホームで電車を待っていると、見慣れない山吹色の車両が入ってきた。これに見覚えがないAさんは「こんな車両、あったっけ?」と思い、ふと乗り込んでみることに。車内に入ると、床は寄木、壁も天井もベンチも木製で、運転台の後ろには杉材の組子が組まれていることに、Aさんは大きく驚いた。

感動したAさんは「新型車両なのだろうか」と考えインターネットで調べてみる。すると、1990年から35年にわたって東京の街を走ってきた8500形「8501号車」のリニューアル車両であることが分かった。東京都交通局が2026年4月16日に運行を開始した同車両は、デザインをJR九州「ななつ星in九州」などを手掛けた水戸岡鋭治さんが担当しているようだ。

なぜこのように、35年も走ってきた車両を新車のように生まれ変わらせたのだろうか。リニューアルの狙いについて、東京都交通局の飽浦昌城さんに聞いた。

-1990年から運行してきた8501号車をリニューアルしたのはなぜでしょうか。

8501号車は8500形のトップナンバーで、1990年の登場以来35年にわたり地域に親しまれてきました。長く走り続けてきた車両だからこそ、その歩みを引き継ぎながら車両デザインを生まれ変わらせることに意味があると考えました。

都電は沿線の方々の日常の足である一方、東京に残る数少ない路面電車として観光客や鉄道ファンにも親しまれています。乗ること自体を楽しんでいただける車両をつくろうと、「楽しい都電」をコンセプトにリニューアルを進めました。

-車内には多くの木材が使われています。なぜ、このような内装にしたのでしょうか。

木のぬくもりを感じられる、従来の都電とは異なる空間を目指しました。

床には寄木を使い、壁や天井、ベンチなども木製としています。車両前方には杉材の組子を設けました。天井照明や換気口も含め、車内全体を水戸岡さんのデザインで統一しており、普段とは違う都電を楽しんでいただきたいと考えています。

-水戸岡鋭治氏がデザインを担当した経緯を教えてください。

きっかけは、水戸岡さんご本人からの申し入れでした。

水戸岡さんは、少年時代に初めて東京を訪れた際に見た都電が強く印象に残り、「いつか都電をデザインしたい」と長年思い続けていたそうです。その思いが、今回のリニューアルとして形になりました。

-山吹色を採用したのはなぜでしょうか。

昔の都電を彷彿とさせる色として採用したと聞いています。

昔ながらの趣を感じる外観と、木材をふんだんに使った新しい内装を組み合わせ、懐かしさと新鮮さの両方を楽しんでいただければと考えています。

-このリニューアルではクラウドファンディングも実施されました。どのような狙いがあったのでしょうか。

都営交通として初めてクラウドファンディングをおこない、624人の方から787万2500円をご支援いただきました。

資金面だけでなく、全国の都電ファンとつながる機会になったことにも大きな意味があったと考えています。

◆飽浦昌城(あくら・まさしろ) 東京都交通局総務部戦略経営担当課長

(よろず~ニュース特約ライター・夢書房)

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